元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2017/07/07]
勉強法



   「都議選台風」一過、いよいよ怖いもの知らずの安倍さんが下流に流される日が始まった。本来の課題アベノミクスや加計・森友の斡旋政治、さらに憲法違反の防衛大臣よりも、今マスコミ受けしているのが豊田真由子さん問題だ。豊田さんは3姉妹の次女で、姉は医者、妹は弁護士、3人とも東大卒だと言う。頭の良い家系だ。
 似た名前の山口真由さんは、東大法学部首席、財務省入省の後、弁護士。ハーバードロウスクール最優秀という、なんとまあ頭のいい人だ。両親ともに医者で家系も優秀。山口さんが書いた勉強法の本を読んでみた。若干32歳で、感心するのは、その「努力する性格」。東大に入ったら、周囲は遊び始めて競争相手がいなくなったと嘆いた。彼女だけはますます目標に向かって恐るべき勉強を続けたのだ。
 内容は、驚くべきものではない。同じ本を7回読めば無理なく頭に入ると主張している。確かに、多くの若者は、赤や黄色やらのマーカーで本に塗り絵することに専念しているが、彼女はさらさら読むことの方が時間も節約できると言う。マークしておいて後で覚えようはダメだ、と。
 山口さんの勉強法は正しいと思う。試験はインプットの仕方が大切だ。私は7回も読むことはなく、せいぜい3回程度だが、それは山口さんのように鬼気迫る努力を維持できなかったからだ。凡人だから、同じ本に飽きてしまうのだ。飽きなかったのは、55歳の時にオーストラリア国立大学で国際関係論修士を取得した時の勉強だけだ。2回の国政選挙敗北のあと、どうしても勉強したくて赴いたときのことだ。英語だから読むスピードが遅く、飽きるどころか、一回読み終わるのが精いっぱいの日々だった。
 海馬機能が衰え、記憶のストックや記銘力に危うさを覚える年齢になった。しかし、正しい勉強法を続ければ、死ぬまでの日々の豊かさを保てよう。そこで、老婆心からひとつ提言。大秀才の山口さんや豊田さんに共通なのは、インプットの勉強は得意でも、社会へのアウトプットは覚束ない。山口さんの本は分かり易いが、面白くはない。豊田さんは、大衆迎合の議員職に向かない。大秀才は、失敗を重ね、「勉強のできない」多くの人の言い分を聞き、自分の欠点を人前で言えるようになって初めてアウトプットでも成功するだろう。
 だが、私の通ってきた道は大秀才が山ほどいたけれども、かつての大秀才で「世間的に」成功した人は殆どいない。大秀才が肝に銘ずべき点だ。

[2017/07/01]
小池新党前夜



都議選が明日に迫った。山の手の杉並区を歩いてみると、其処此処にポスターの掲示板が建てられ、たまにだが、演説カーが通る。東京の人は、地方と違って、どこへ行くのも車を使わず歩くので、地方が点と点で生きているのに対し、線上に生きている。
 点よりも線の方が情報が多く、伝わりやすい。都会が時代の先端を行く理由の一つだ。むろん、学歴も所得も相対的に高いから、情報の価値を見分ける力も持つ。ただ、歩いてみればわかるが、どんな瀟洒な家に住んでいても、狭く、生活の豊かさの実感は地方には及ばない。
 その東京で、今回は「異変」が予想される。マスコミもまるで2009年の自民党惨敗再来のように、自民党叩きをしている。忖度政治、稲田防衛大臣の自衛隊を使った投票依頼発言(この人は、法律家なんだが)、下村都連会長の利害関係者からの献金問題、魔の二期生政治家の不祥事・・・それにしても、弁解のしようがない攻撃材料を自民党はよく作ったものだ。そして、2009年は逃げた票が民主党に行ったのだが、今回は間違いなく都民ファーストに行く。
 小池ネガティブ情報も少し出ているが、少なくとも、オリンピックや豊洲問題の情報公開は一番評価されている。都民は先ずはここまでを評価するはずだ。この後、大阪の橋本徹がおおさか維新の会を全国政党にしたように、小池新党が登場することは間違いあるまい。維新の会は一時の勢いはなくなった。それもそのはず、一番の立役者橋本が第一線から退いたからだ。小池新党は新たな期待が寄せられるであろう、しかも、今度は地方であって東京敵対の大阪ではなく首都東京を舞台に出現する。
 小池さんが政界に出たのは、1993年、細川護煕の日本新党が国政に打って出たときだ。その後、政界再編に合わせて「政界の渡り鳥」と揶揄されつつも、つねに政党ナンバーワンの人物の信頼を勝ち取ってきた手腕を持つ。今度は初めて自らがナンバーワンとなる。日本新党を彷彿とさせる状況の中にある。
 新党は潰れやすい。ベンチャー企業だからだ。しかし、数々の政治勢力の栄枯盛衰を渦中の人間としてみてきた小池さんだから、どう御していくのか見たいものだ。一つ確実に言えることは、独りで仕事をしてはいけない。賢人を集め小池軍団を作り、「情報公開をする保守政治」を旨に、行動すべきだ。

[2017/06/27]
もりソバ、かけソバ事件



霞が関で「もりソバ、かけソバ事件」と言っているのは、森友事件、加計学園事件のことだ。「忖度」は、今回マスコミで使われるようになるまで知られていなかったが、これも霞が関では頻繁に使われる言葉だ。つまり、政治家トップの意向を忖度するのは、役人の世界では日常茶飯事なのだ。
 数日前のある会合で、元某省次官を務めた人が「文科省のような硬い役所の岩盤にドリルで穴をあけたのだから、いいじゃないか。騒ぐことはない」と言った。その見方もある。文科省、厚労省など非経済官庁はもとより保守的で、事なかれ主義で、岩盤は固すぎるほど固い。だから、「軽いノリ」の経産省出身で固めた内閣府の規制改革派が安倍さんの名を使ってドリルで穴をあけたのが今回の騒ぎであるとも言える。
 たとえ安倍さんが「自分は指示していない」と言ったところで、名前が使われたのは、江田憲司が言うように「状況証拠」として十分にあるのだから、誰かが責任を取らねばおさまるまい。だから、菅官房長官か萩生田官房副長官が「私がやりました。私は総理を守ります」と言って、辞めればいいだけの話だ。
 もっと前なら、下のレベルの辞任で済んだかもしれない。たとえば和泉洋人総理補佐官。彼は、2012年内閣府を退職するまでは、民主党政権下で「国家戦略特区」と似て非なる「国際戦略特区」の担当者だった。菅官房長官に退官後引っ張られて総理補佐官となり、「特区」の専門性を活かした。彼は、国交省出身で、経産省出身のように「規制改革至上主義」でもなければ、文科省のように「岩盤守る主義」でもなく、政治家御下問を大切にする役人だ(利権の役所出身だから)。前川前次官に「総理が直接言えないから、私から言います」と進言したのは、彼らしい。状況が目に浮かぶ。
 岸博幸という経産省出身評論家が、猛烈に前川前次官を攻撃し、「俺は役人出身だから、何でも知っている。プロセスを見れば忖度の余地はなく、悪いのは、頑なな文科省だ」と独特の容貌で語る。しかし、今回ばかりは、「もりソバ、かけソバ」にマスコミは同情しない。安倍政権の支持率が下がったまま、そう、都議選は小池さんが勝つであろう。ただ、この事件を有効に議論できなかった、国政を与る野党は消えていく運命だ。

[2017/06/24]
雑談の日



昨日、ある法人の会合で、仕事の後は雑談に花が咲いた。何せ、話題に事欠かないこの頃である。人工知能から、豊田真由子議員の暴言問題まで、語るに尽きない。
 人工知能は、過日、科学会合でもテーマになったが、私は、持論の「労働を悪徳と見たギリシア時代に戻って、人工知能を奴隷にし、人間は遊んで暮らす時代が来る」と主張したが、今回も賛同は得られなかった。
 豊田議員は厚労省の後輩。残念ながら個人的には知らない。自民返り咲きの機を見て公募し、政治家に転向した野心ある人のようだが、残念なのは、せめて管理職を経験してから出馬すればよかったと思われる。彼女の地だけが出て、プロフェッショナルな部分は発揮されないまま終わる。
 生まれて初めての挫折に、今、彼女は急性の鬱病で入院している。偽メール国会質問で失脚し後に自殺した永田寿康、証券取引法違反で自殺した新井将敬、絆創膏大臣で失脚した赤城徳彦、酩酊大臣中川昭一などの事件が思い出される。彼等も皆鬱病になり、立ち直れなかった。
 豊田さんは若いのだから、あっさり議員を辞め、英語を活かし外資系会社などで、プロフェッションを一からやり直せ。残念ながら役人としては完成していない、だから、部下の扱いを知らぬまま政界に出てきてしまった。菅直人は総理になっても市民政治家のままで、人を使えなかった。野田佳彦は総理になっても、単なる選挙上手で、人を使えなかった。人の上に立とうとするなら、プロフェッションを学ぶべきだ。
 さて。ひとしきりの雑談の後、帰り道を一緒にした70歳代の男性が、今回限りで退任し、これからは、自分のコンサートに集中すると言う。聞けば、60歳を過ぎてからカルチュアセンターでカンツオーネ、ドイツリート、シャンソンを習い、今は、コンサートに出ているとのこと。子供のころ、アマチュア声楽の大会で優勝し、音大の先生から、音大に進学するように言われたが、経済的に叶わず、サラリーマン生活が終わってから本格的に声楽を始めた。
 素晴らしい、羨ましい。私は、ドイツリートを習っているが、実は、世の中にあるほとんどの歌の歌詞やメロデイーが気持ちに合わず、歌いたい歌がきわめて少ないことに気付いた。森羅万象を愛で、惚れた腫れたの歌は嫌いだ。別れの歌だけを好む。
 歌一つでも、人間の生き様と哲学に関わっていることを知った。先ずは、彼のコンサートに行くことを約して別れた。 

[2017/06/18]
新政党への期待



   日曜の朝は討論番組が多い。当然のことだが、本日は、加計学園が中心だ。その討論で、江田憲司が「状況証拠は揃った。それらは証拠能力が十分だ。後は、裁判ならば、証人尋問で確認するだけだ(つまり、有罪確定)」と発言し、筋の通った意見を言った。対する自民党は、総理忖度問題を避け、獣医学部必要論にすり替えようと必死だった。しかし、本人も内心恥ずかしいと思い、つっかえながら反論しているのが気の毒だった。
 江田憲司は現在、民進党。まともな政治家がいたのだ。ただ、彼は、みんなの党、維新党から移ってきた経緯を考えると、連合をバックとした民進党は、改革派を自認する彼にとって論理矛盾するはずだ。一瞬だが、こう思った。この一件で安倍政権が揺らがないのであれば、まともな政治家が集まって、新たな政党を作るべきではないか。
 その動きが都議選で始まっている。小池新党の中身には疑問があるものの、新たな政治勢力が作られるのは歓迎したい。小池さんは、江田憲司のような学問を基礎にした発言はないが、政治家としてのうまさは抜群だ。豊洲と築地を両方活かす(であろうと言われている)ウルトラ選択があるとは思ってもいなかった。
 人口が減り、マイナス金利でも資本の行き所のない、イノベーションも期待薄の日本。「あの夢をもう一度はありえない」前提で、新たな国家像を作るべく、新政党の誕生を望む。

[2017/06/16]
前川、がんばれ



「前畑がんばれ」は1936年、ベルリンオリンピックにおいて前畑秀子が平泳ぎで金メダルを取った時、NHKアナウンサーが放送中絶叫した言葉だ。現在、「前川がんばれ」と前川前文科事務次官を応援していたら、加計学園ゲートが化けの皮をはがし始めた。
 文科省に引き続き、内閣府も調査せざるを得なくなり、斡旋政治の内幕を国民に明らかにする。ただし、重要法案テロ等準備罪も可決し、国会は閉じるから、議論は、マスコミと人々のコミュニケーションに移る。もしかしたら、このまま萎んでいくかもしれない。また、自民党の支持率があまり下がらないのは、偏に野党の不甲斐なさによる。
 都政では、小池知事は、少なくとも豊洲市場とオリンピックを国民の議論の俎上に載せた。知事が彼女に変わらなければうやむやにされていたかもしれない。ただし、前川さんと違うのは、小池さんは、ずっと政治的だ。前川さんのように「役人の矜持を守る」という単純なものではなく、小池政治を席巻させるための手法を尽くす。
 そのための都議選、議会過半数になるかどうかは分からないが、小池新党は自民党を超えるであろう。国政に影響ある新たな野党を期待したい。あたかも橋下徹が大阪維新の会を全国政党にしたように。
 話を前川氏に戻す。彼は、文科省に入るとき公務員試験4番の優秀な成績だった。真実に文部行政を目指した人なのだろう。私は、法学部出身ではないので、長い間「法律学は社会科学ではない」と思ってきた。それを小林宏晨日大名誉教授に言ったら、怒られた。「法律学こそ最強の社会科学。私は、それを身に着け喧嘩に負けたことはない」と言われた。私は、心を動かされて、遅ればせながら、今、少し、法律学の勉強をしている。
 だが、判例を読んで、なぜこんなに回りくどい言い方をするのか、なぜ真実はひとつなのに、学説がいくつもの理屈を作るのか、自然科学に比べると、納得のいかない内容が多い。そうだ、総理補佐官を始め、永田町・霞が関は東大法学部だらけ。さまざまの理屈を披歴し、最後は権力への忖度で決めた、ということにしているのだ。
 学力の高い前川さん。次は、法の支配が忖度を駆逐する行政の在り方を声高に主張してほしい。加計学園ゲートが立ち消えしないために。
 

[2017/06/10]
国民国家への道



トランプ大統領は、コミー前FBI長官の議会証言に追い詰められている。メイ英国首相は、賭けに出た総選挙に失敗し、与野党に追い詰められている。そして、安倍首相は、とうとう加計学園問題で、無いと強弁してきた文科省メールの再調査をするまで追い詰められた。
 世界がグローバリゼーションから国民国家へと後戻りする(経済学者水野和夫の言う閉じた帝国)中で、グローバリゼーションを担ってきた大国が国内問題で喘いでいるのが現況だ。日本は、天皇退位の法律が通り、早晩、「平成の仕切り直し」のチャンスが確実にめぐってくる。まさに、国民国家日本が新たな姿を示す時が来た。
 初めから象徴天皇として即位した今上天皇は、ついに昭和天皇を超えた。戦争と復興・経済成長の激しい時代を生きた昭和天皇は、国際社会では、長らく戦争責任を問われていた。今上天皇は、其の後の「失われた30年近く」の難しい時代に、律儀に戦争の遺族に仕え、災害や閉塞感の中に生きる人々を激励した。象徴天皇とは何かを身を以て作り上げたのが今上天皇だ。天皇とは、皇室とは、民への祈りであり、近代化した今上天皇は分かり易い形で示した。
 退位法の所管大臣は菅官房長官。この仕事を終えたのだから、次はご自身の「退位」ではないか。森友学園、加計学園にみる「斡旋政治」の責任を取るべきだ。安倍総理一強を守りたいと思うなら、菅官房長官が「私が皆忖度しました。総理は真っ白です」と幕引きを図るのが一番賢い。
 国民国家の基礎は内需と社会保障だ。そのためには、日本は人口の維持を真剣にやっていかねばならない。合計特殊出生率が同じく低いドイツはここ数年で人口10%にあたる移民を受け入れ、EU経済で独り勝ちしている。米英日が追い詰められている中、一時は移民のやり過ぎで批判を浴びたメルケルは今秋の選挙で4選が確実視されている。
 21世紀がグローバリゼーションから国民国家へと戻るなら、日本はドイツに負けない方法を考えねばならない。フランス、スウェーデンのような徹底した家族政策は、団塊ジュニアが40歳代となった今では遅い。どういう方法をとるのか、新時代の最大の課題とすべきだ。

[2017/06/09]
捨て石



先日、民主党時代仲の良かった議員から連絡があり、民主党政権時代、内閣委員会で公務員改革を手掛けていた私に「今の内閣人事局は自民党の発想だよね」と照会があった。内閣人事局は公務員改革において、それまで各省ごとに行っていた幹部人事を内閣人事局に一括して任せるというもので、縦割り行政の弊害を排除するための「改革」とされた。この内閣人事局が前川喜平前事務次官の首を切ったことになる。
 残念ながら、内閣人事局の案は民主党時代に既にあった。もっと言えば、民主党の案でもなくて、その前の自公政権時代に作られていたものがベースになっている。安倍政権になって公務員改革の法律は公布・施行された。これにより、21世紀に始まった官邸主導の政治が、官僚支配も官邸主導にすることによって、政官ともに各省の権力は失われた。安倍一強の体制はこれによっても整えられた。
 件の議員は、内閣人事局の弊害を質疑しようと意図したと思うが、民主党時代に出来上がっていたものだから「天に唾」だ。安倍総理の答弁には「それは民主党政権時代にあったものじゃないですか」が多い。民進党は、足腰のぐらついていた民主党時代の「業績」と決別せず、曖昧に引きずっているから、安倍政権に叶わぬのだ。
 内閣人事局によって首切られた例は前川さんだけではない。厚労省でも、次官確実と言われた幹部が、政治家に楯突いて首を切られている。このままだと霞が関幹部は茶坊主の集まりになる。否、既に茶坊主だらけだ。本来ならば文科省を挙げて前川前次官を応援し、役人の根性を見せてほしいものだが、政治家の前に委縮して「そんなメールありません」と答える。
 つい先日、旧知の尊敬する方から「あなたは、田舎のおばさんだ。なんでもペラペラしゃべるから政治の世界ではダメなのだ」と言われたばかりだが、現在、私は失うものがないから、正直に言わせてもらいたい。「田舎のおばさん」の真意は、抑圧された本音を仲間内にとどめておけばいいのに、仲間内に受けるからと言って、大衆に向かってしゃべることと定義されよう。折角の御助言を頂いたものの、この欄では、田舎のおばさんを続けるつもりなのだ。
 昨日、親しい友人から、「落選が多く、修羅場をいくつもくぐってきたのはあなたの財産」と慰められたが、政治はプロセスではなく結果だから、私は内心忸怩たる思いだ。話は飛躍してしまうが、私にとっては、落選は不妊治療に似たものがある。「なぜ子供が欲しいのか、他にも幸せはあるのでは?」と同じように、「なぜ政治家になりたいのか、他の方が向いているのでは?」と言われても、行政マンとして積み上げていけば、社会の方向を決める政治にたどり着くことは否めない。
 昨年放映されたNHKの不妊治療がテーマの番組で、結局疲れて治療をどこかで打ち切る話が出た。そのとき、その一人が「私は、捨て石になって生きる」と言った言葉が視聴者の感動を生んだ。闘って、闘って、最後は捨て石になるとは、なかなか言えないものだ。普通なら社会への憎しみ、運命への怨みで一杯になってしまう。田舎のおばさんである私は、「捨て石」という言葉と共に、今後生きていくつもりだ。

[2017/06/06]
都知事失格?



舛添前都知事が辞任してからちょうど一年。蟄居謹慎していた舛添氏が「都知事失格舛添要一」を出版し、以来初めて口を開いた。実は、この本を買うのに少し苦労した。どこにでも売っているのかと思えば、都内のかなり大きな本屋でも置いていなかった。舛添ここまで落ちたり、と印象付けた。
 筆者は、大学紛争時代、舛添氏等と「マックスウェーバー研究会」の自主ゼミで勉強した。眼光鋭い彼は、勉強に集中し、社交的ではなかった。本を読むスピードが速く、フランス語もドイツ語も身に着けた語学の天才でもあった。大学の本屋で、いつも本を漁っていた。
 30年も経ってから、私が山口県副知事の時に、当時テレビの寵児だった舛添さんにシンポジウムに参加してもらった。残念ながら、彼は私を覚えていないと言った。「ほら、Sさんと一緒の研究会で」「ああ、あの美人のSさんね」。美人は覚えていたらしい。
 彼の本によれば、舛添知事はマスコミに引きずりおろされた。背後には石原派・猪瀬派なども蠢いていた。しかし、右から左までこぞってのバッシングは、政治的意味よりも、バッシングのためのバッシングになっていった。私は、彼の言うことはそんなに間違っていないと思う。「贅沢だ」「セコイ」は彼の人格に対する攻撃であって、政治色は薄かった。つまり、彼は嫌われたのだ。
 我が出身の厚労省では、歴代の大臣で一番嫌われ者が長妻氏、次が舛添氏なのだそうだ。二人とも尊大だが、舛添氏の場合は一部の称讃者もいる。「頭がいい。理解が早い」。私自身も、学生時代、一度は志した研究者だったが、彼の姿を見て、とても叶わないと思った。そして役人の道へ変更したのだ。
 だが、私は、勉強秀才は山というほど見てきた。彼らは、人の気持ちとずれていることは確かだ。いつもテーマを追いかけ、よもやま話や人の気持ちに寄り添うことに時間は費やさない。志をどう果たすか、そのことで頭はいっぱいなのだ。
 舛添氏の本は誤解される可能性がある。彼は、東京都を世界の東京にしようと試みたのであって、手段に受け入れられないことがあっても、全体から見れば矮小の議論に過ぎないと書く。だが、人は、仕事で評価するのではなく、人柄で評価する。政治家はそうであってはならないのだが、哀しいかな、民主主義の限界は「自分と同じレベルの人間」を選ぶ基準を設けているところにある。
 このことは、現在、菅官房長官が前川喜平前文科次官に反論するとき、全て人格攻撃であるのと同じだ。菅さんは既に議論には負けている。前川氏も週刊誌によれば勉強秀才だが、文部行政をライフワークに選び、世間を理解しようと行動し、堂々と時の総理と闘うところは、人間味もある偉丈夫だ。
 日本の政治は21世紀になってポピュリズムが中心になった。エリートイズムは最も嫌われる。しかし、すべてその選択でいいか。満身創痍となった舛添氏や弁慶となって「行政という義経」をかばって矢面に立った前川氏の主張も聞き入れるだけの民主主義社会を望む。

[2017/05/31]
ソーラーシェアリング



 先週、城西信用金庫の吉原毅相談役から、現在当金庫が融資しているプロジェクト、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)についてお話を伺った。
 農水省が設置を認めるソーラーシェアリングは、太陽光パネルを細くし、隙間から太陽光が地面に届くようにして下を農地として活用すると言うものだ。全国で775事例ある(2016年3月)。
 農作物は適度の紫外線がいいのであって、遮光率33%以下で採れる農作物は、大豆、長ネギ、スイカ、ジャガイモ、コメなど、殆どが対象になる。千葉県のメガソーラーシェアリングの落成式には、原発反対の小泉元総理、細川元総理、菅元総理も駆けつけている。
 太陽光発電については、競争激化や環境問題などで一時の流行に比べ低迷しているようにも思えるが、日本は、世界の太陽光パネルの市場を中国に席巻されたのだから、営農技術など別のところで勝っていかねばならない。その意味で、吉原氏は、地方創生の担い手としてのソーラーシェアリングに自信を示した。
 落成式に参加した3元総理共に、原発反対から自然エネルギー派になった。一方で6月6日には、高浜原原発の再稼働が決まっている。政府としては、長年投資し、技術者も多いクリーンエネルギーを捨てがたい。
 吉原氏も原発には反対で、理由は「事故が起きたときの惨禍は人類を破滅させる」。では、もし、技術的に「事故が起きない」まで高められたらどうか。核融合の発電技術で、核ゴミを出さない方法が確立したらどうか。「科学者に訊いたら、それは難しい」と吉原氏。
 自然エネルギーへの投資は、ドイツにおいて顕著だが、経済成長と雇用を生む。しかし、今日まで築き上げてきた原発が技術的に限界があるかどうかの判断は下されていない。だから、再稼働が問題になる。世の中の管理職や政治家は「文系」が圧倒的に多いから、科学的なことは理解できていない。ここは、科学者が世の中を納得させなければ、永遠に水掛け論に終わる。原発を捨て去るのか、ベストエネルギーミックスに原発を残すのか。
 石斧、ナイフ、自動車、飛行機はいずれも多くの人を殺傷してきた。だが、誰も、これらを廃止しようとはしなかった。原発の殺傷力はその比ではないことは確かだが、再稼働の理屈もあるのだから、世の中がもっと理系的に理解する必要がある。「数学ができないから文系に行った」人たちは、科学者に耳を傾けよう。
 
 



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