元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト
大泉ひろ子のプロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会・党員・サポーター募集
日々雑感
[2017/02/10]
健康は経済に優先する



 既にこの欄で、韓国で行われた科学者会議の講演者中村修二(青色LED)、デニス・メドウ(成長の限界著者、ローマクラブ)について書いたが、今回は、2008年ノーベル生理学・医学賞を受賞したHIV(エイズウィルス)の発見者リュック・モンタニエ博士の講演について書く。
 HIVの発見は、もう一人、米国メリーランド大学のロバート・ギャロ博士との間で、どちらが先か、どちらが貢献したかで争いがあった。結局1983年、ギャロより1年早く発見したモンタニエが受賞することになったのだが、分子生物学上の功績はギャロにもあった。
 ノーベル賞は偉大であり、ある意味では政治的意味も持つことはこの争いでも分かる。フランスとアメリカが国を挙げて争ったのである。受賞して晴の舞台に乗る場面は華麗だが、水面下ではさまざまの問題がある。日本でも、90年代、ノーベル経済学賞確実と言われた森嶋通夫は、ノーベル賞の選考基準が理論よりも応用重視に変わったことによって受賞を逃したと言われる。
 さて。モンタニエ博士は非常に穏やかな話しぶりで、フランス人の英語にしては分かり易かった。以下、要点を記する。
 人類は35億年の生物進化の過程で、環境と闘うDNAの遺伝子記憶を持っている。直近1万年は人類が文字などによって遺伝子記憶を残してきた。今、健康の問題は、エイジング、慢性病、突発的出来事、グローバリゼーションに挑戦している。
 癌や心臓病などの慢性病の病理因子はDNAの酸化ストレスであることが分かってきた。その医学への応用は、癌、自閉症、パーキンソン病、ALS、リューマチについて、抗生物セラピー、抗酸化、免疫強化などの治療法が開発されている。
 ワクチンの効果は専門家の間で疑問視される分野があり、ワクチンの引き起こす医療事故も認識される中で、いくつかの予防法を勧めたい。風邪などに感染している乳児のワクチン投与を遅らせること、妊婦と乳児はできるだけ放射線を避けること、解熱鎮痛剤を使わないことである。
 最後に、モンタニエ博士は、「健康は経済に優先する」を強調した。政策決定者に対する提言でもあり、人々に対する忠告でもある。
 最後の提言は、日本の医療財政では難しいところもある。どこの先進国でも、誰もが最高の治療を受けることは難しいだろう。しかし、病理のメカニズムを知って、たとえば抗酸化の食品を摂るなど予防は個人の行動次第である。
 ワクチンについては、子宮頸癌ワクチンの副作用問題が広く認識されているが、数年前、国や地方公共団体に子宮頸癌ワクチンを予算化しろと声を荒げた人々は現在沈黙している。そもそも中学3年の女子にワクチンを投与するより若年化する性行動を抑制する方法を考えるべきだったのではないか。医学や環境学は、学問の成果や論理が定着していない段階で、政治的道具に使うべきでない。モンタニエ博士のプレゼンは、健康は経済より優先すべきもわかるが、「真実を分かって行動すべき」ことも教えたと思う。 

[2017/02/09]
日中韓三国協力事務局



 2011年、ソウルに設置された日中韓三国事務局の梅沢次長にお会いする機会を得た。次長は外務省からの出向である。
 トランプ大統領がTPP離脱を決めてから、アジアの自由貿易の枠組みは振り出しに戻った。日本はアメリカとともにTPPにイニシアチブを取らせるつもりであったが、中国はRCEP(東アジア地域包括的連携経済組織)にイニシアチブをとらせようとしていた。RCEPはASEAN+日中韓+インド・オーストラリア・ニュージーランドの16か国の枠組みである。
 日本でも、これまでTPPに反対していた論者はRCEPを主張する人が多かったが、その基本になる日中韓関係の調整をしているのが日中韓三国協力事務局である。三国の首脳会談や外相会談を実現させるのが任務である。現在は、トランプの出方や、日韓の少女像問題や、中韓のサード問題などが東アジア政治を難しくしている。
 梅沢次長曰く、それでも、韓国の民間人の対日感情は悪くない。確かに、いつも私が韓国に行くときは日韓関係が良くないが、決して不快な目に遭ったことはない。中国でも同じ経験をしている。だから、日中韓三国協力事務局としては、政府間交渉ばかりでなく民間交流を量的に拡大したいであろう。
 しかし、次長とともに会った韓国の大学で教える日本人学者によると、「朝鮮半島の研究者は日本でのポストが少なく、したがって、日本の学者はもっとポストの多い地域研究に回る」という現実問題を聞いた。このままだと隣国の研究が進まない。アメリカとメキシコの間に壁を作るようなロジックに至らぬよう、東アジアを知る日本人を大量に増やすべきだろう。
 イギリスがEUを離脱し、アメリカがNAFTAの見直しを予告しているのとは反対に、アジアでは、RCEPが動き出し、ブロック経済化を目指すはずだ。また、日本の経済界では、AIIB(中国が中心のアジアインフラ投資銀行)に参加すべきという声も次第に多くなっている。
 アメリカは従来、アジアの巨大な市場をリードしようと、TPPを主導し、AIIBに参加せず、アジア危機時代に日本が提唱したアジア版IMFも潰してきたが、果たして、モンロー主義のトランプはどう出てくるのか。本日、安倍首相は日米首脳会談に旅立つ。大変な岐路が待つ。
 

[2017/02/08]
成長の限界



 1972年、ローマクラブと名乗る16人の学者が「成長の限界」の本を著し、指数的に伸びる人口の抑制をしなければ、公害や食糧難で100年後の地球は破滅すると警告した。
 その学者の筆頭がデニス・メドウである。この本を書いたときには若干30歳で、今70歳台半ば、米国ニューハンプシャー大学の教授である。そのメドウ先生のレクチャーを聴いた。
 先生の地球への危機感は45年前に提起した時と変わっていなかった。科学の進歩で公害を解決し農業の生産性を格段に上げてきたけれども、二酸化炭素の問題を例に、真実の「持続する成長」に対して、先生は懐疑的であった。
 1970年代、世界を震撼させた、先生が代表するローマクラブの報告は今では過去のものになっているが、過去の考え方の上に立って、世界が地球の新たな処方箋を描くところまで来ていない。ローマクラブの考えは環境ラディカルのスローガンにはなったものの、論理は必ずしも実証されていない。私はここのところをメドウ先生に訊きたかったが、確たる発言はなかった。
 それでも、一世を風靡したメドウ先生に、私は、40年以上前に読んだ先生の著書「The limits to growth」(成長の限界)にサインをしてもらった。本棚で40年以上も眠っていた茶色になった本が急に生き返った。

[2017/02/07]
中村修二先生、意気軒昂



 2014年青色LEDの発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二先生の熱弁をお聞きした。それはそれは迫力あるレクチャーで、LEDがエネルギー資源の節約になるばかりではなく、熱を出さないメリットを活かしての農産物の栽培、近眼治療など健康への応用、開発途上国の教育への貢献に大いに活用されている事実を知った。
 にもかかわらず、日本では、アメリカに比べLEDの応用と普及が遅れている。日本人の科学者が先鞭をつけた発明に、日本はもっと強欲になるべきだろう。
 そして気になるのが、中村先生自身が話す「異分子を嫌う日本」の問題。先生は怒りが研究のエネルギーだと言う。文科省もマスコミも先生を科学者としてよりも「技術者」「商品開発者」として紹介する傾向を私も知っている。しかし、先生はまことに科学者だ。真実の地平線を見ながらそれに近づく姿勢を私は間近に見た。精悍な顔ときびきび動く肢体、ユーモアとロジックの明快さ。次のノーベル賞もありうる。
 日本はこういう科学者を大切にすべきだ。東大や京大の出身でなければダメ、ネイチャー等に投稿していなければダメというような基準は、最近のノーベル賞受賞者を見ても合わなくなっている。また、ネイチャーに華々しくデビューしたスタップ細胞事件も記憶に生々しい。
 私は、中村先生を応援し続ける。

[2017/01/31]
経産省の役割



昨日、農水省の研究開発オープンイノベーションの新規政策と経産省の農商工連携植物工場・輸出産業支援制度を聞く機会を得た。
 農水省の新規政策はいわば農水版科研費の創設だが、科研費と違い、対象は個人ではなく、グループ、研究所、法人、自治体などであり、オープンイノベーションで競争的資金を勝ち取る方式だ。民間に開発意欲をもたらすのには良いアイデアだが、農水省の意図は何か。食料自給率をあげたいのか、輸出産業を育てたいのか、健康食を推進したいのか。また、そもそもの農業後継者不足や耕作放棄地など喫緊の課題とどう結び付けていくのか。
 農水分野はグローバリゼーションの中で外圧を受けてきた。そのため、農家を守るだけの「ダサい」役所から国際派も出てきた。今回イノベーションに意欲的な政策を掲げたのも農水省の置かれた立場をよく表すが、目標と理念型が不明だ。戦前は農商務省で殖産興業の要を背負っていた歴史を思い起こし、もう先送りをしている場合ではない、日本の農業の目標と理念型を掲げてほしい。
 経産省は、意識的に他省の分野を「侵す」傾向がある。農商工連携で、人工光などを使う植物工場や先進輸出産業の支援をしている。本来なら、農水省の仕事ではないかと思うが、農水省や厚労省などは、安全・衛生の確保が第一であり、規制の部分が大きいので、なかなか前に進めない。だから、経済成長に乗り遅れては大変だと、経産省が、迅速で荒っぽい仕事を引き受けることになる。
 厚労省の分野でも、医療機器や福祉機器への対応は経産省が早い。産業政策において、経産省が次に狙うのは医薬品の分野かもしれない。トランプ米大統領が、地球温暖化やがん・ワクチン政策に否定的な見方をしているのは、日本にとってチャンスである。ブッシュ時代にキリスト教原理主義がアメリカの生命科学の研究を遅らせ、シンガポールに研究者が逃げて行った。日本は、今こそ、山中先生のiPS細胞などを使って生命科学でアメリカを追い越すべきではないか。
 規制から入る厚労省ではなく、イノベーション第一の経産省が政策を先んずると思う。昨日話を聞きながら、そう思った。
 (明日2月1日から6日まで、韓国で行われる科学会議等に出席のため、ブログをお休みします。)

[2017/01/30]
「昔ながらの」が流行



 卓球の福原愛と江宏傑の結婚は実にほほえましい。格好の良い男と可愛らしい女。しかも、愛さんの中国語の流暢なこと。テレビの中国語講座にも登場していた愛さんだが、一芸を極める人らしく、語学も極める才能の持ち主だ。
 愛さんの卓球人生は少し雲がかかってきたが、この結婚は現在では珍しい「昔ながらの」幸せな結婚だ。筆者の知るところによれば台湾の男性は優しい。愛さんは「彼のいるところが私のいるところ」と最上のおのろけを語っている。女性が必ずしも自分の職業人生を優先しないのも今では珍しい。
 昔ながらの安定感は、グローバリゼーションで多様な価値観を認めてきた現代社会に一矢を報いる価値ではないか。生き方も社会保障も「おひとり様」単位が進む中で、政府でも国でも社会でもない、家族への憧れが芽生えていると感ずる。いいか悪いかではない。時代の流れはダッチロールする。LGBT(レズ、ゲイ、バイ、トランス)が認められていく流れの中で、キリスト教原理主義ならずとも、普通の感覚の中に「昔ながらの」回帰が存在していると思う。
 大局から見れば、「昔ながらの」は次第に勢力を回復していく。トランプは昔ながらの人そのものだ。国民国家に戻れ、アメリカの労働者はアメリカのために働け、女はモデルのような美人になれ、子供を4人くらい生め(自分のように)。
 「昔ながらの」が今後流行る。筆者は予言する。
 

[2017/01/29]
観客席



 東京築地市場を巡って、ついに石原元都知事を被告に「失政裁判」が始まろうとしている。市民代表が原告になるにせよ、引き金を引いたのは小池都知事である。小池劇場は、今のところ十分に「観客席」を楽しましているが、さて、小池さんは一連の都政改革の決着をどう図るのだろう。ハラハラドキドキ、他人事とは思えない。
 アメリカでは、「毎日がトランプ」だ。トランプは英語で切り札の意味。オバマの決定を全てひっくり返すことから差別主義の疑いすら持つ。「黒人政治」の否定をしているかのようだ。そう切り札ばかり出しては、今後のゲームはどうなる?観客席はハラハラだ。
 しかし、トランプがレーガン政治の再来ならば、最後は「いい大統領だった」になるかもしれない。マスコミは尻馬に乗る人ばかりで、観客席から「大根役者トランプ」を批判することにより自分の優位を見せつける。レーガンも、日本では小渕敬三も、出てきたときは非知性の政治家として不人気だったが、最後は「結構いい役者だった」と評価されている。むしろ「本格」と期待された橋本龍太郎などの方が消費税引き上げで簡単に失脚したことを思い起こす。
 観客席は楽しいね。責任がないから。しかし、後ろの方で泣いているヒラリー・クリントンの声や舛添要一氏の呻きが聞こえる。

[2017/01/28]
女性の生産性



  日本のGDPは世界2位だが、国民一人当たりにすると27位。これが日本は生産性が低いと言われる所以である。デービッド・アトキンソンによれば、日本は国民一人当たりの数字で見ると、技術が高いわけでもなければ、ものつくり国でもない。その通りである。
 彼の立論は、戦後の驚異的な経済発展は日本の人口規模の大きさによるものだと言う。1990年以降のデフレは人口減少が始まったことによる。明快だし、正しい。視点は違うが藻谷浩介も「デフレの正体」の中で、人口構造がデフレの原因としている。
 確かに、1950年は日本の人口は世界5位だった。現在は11位。人口規模順位が落ちるにつけ、日本はあらゆる順位が下に行くようになっている。つまり、日本は言われているほど(希望的観測で)、特殊な国ではなく、ただ、規模の利益を発揮して戦後の発展をしてきただけなのである。
 90年代前半までは、日本はアメリカのGDPに迫っていたが、今やアメリカは日本の4倍。アメリカは出生率も高いが、移民の受け入れで人口の社会増も多い。アメリカが一位を保ち続けたのは人口の規模である。やはり、人口を増やさねば日本はどんどん下位に落ちていく。欧州では、フランスは出生率向上政策で、ドイツは移民受け入れ政策で人口を保とうとしている。「日本は技術がある」は違う。中国と比べても仕方がない。もっと真面目に人口政策をやれ。
 アトキンソンの指摘の中で、最も気になるのが、日本女性の生産性の低さである。男女賃金格差はどの国もあるが、アメリカなど先進国では、女性は男性の賃金の8割以上は稼いでいるのに、日本の女性は5割ちょっと。20歳代までは8割あるのだが、それ以降は、格段と落ちる。
 理由は簡単だ。女性は非正規雇用が多いのと、いわゆる女性の職場の賃金が低いからである。保育や介護の職場がその例だ。もし、女性の賃金を一律男性の8割まで上げれば、日本のGDPは相当に改善されよう。一億総活躍社会とはそうすることではないのか。
 しかし、ここでいつも議論のネックとなるのが、「女性は当てにならない」。一方で女性の方が真面目でよく働くとの評価もあるが、「子供を2人生んで4年間も育児休暇を取りっぱなし」「転勤や出張を断り、責任ある仕事を受けない」と否定論も根強い。
 世界の女性が活躍しているのだから、日本の女性ができないわけはない。この際、女性も社会も考え方を変えねばならない。社会は「女性に任せてみる」勇気を、女性は「甘えない」ことを知らしめる。
 つまらぬことだが、老婆心から「甘えない方法」を教えると、仕事をする姿で職場に行ってほしい。おすべらかしの髪形、ピンヒールの靴、長すぎるつけまつげ、悪魔のようなネールアート、その姿で働けるのかな、毎日電車で若い女性を眺めて思っている。私は、ただただ、女性がこの社会で活躍してほしいのだ。
 

[2017/01/27]
リベラル外交



 昨日、リベラル外交評論で頭角を現してきた猿田佐世さんのお話を聞いた。内容をそのまま伝えるのは本人の望むところではないと思うので、猿田さんの書いた近著「新しい日本外交を切り拓く」によれば、論点は、日本は、ブルッキングスやCSIS(戦略国際問題研究所)などシンクタンクに資金提供して、アメリカにおける知日派5-30人をつくってきた。その知日派は必ずしもワシントンの意向を伝える人ではなく、アメリカを代表する意見でもなく、ましてや日本を知る人でもないと言う。
 日米外交の話になると、確かに、同じ人間ばかりが登場する。アミテージ元国務副長官、キャンベル元国務次官補、マイケル・グリーン(CSIS)など同じ人がどの新聞も意見を載せる。だが、トランプの登場で、これらの人々はアウトサイダーになり、政府の動向を掴むことは難しくなろう。
 考えてみると、日本側も同じ事情ではないか。日米関係でマスコミに登場する人は決まっている。ついでに報道番組で数人の評論家を並べ、少しずつ意見を言わせる方式もあるが、一体この人のどこが専門家なのか、また、独自のリソースを持っているのか疑問を持つ怪しいコメンテーターも多い。
 民主党が政権を取った時に、3年間余おとなしくしていた元コメンテーターが、再び自民党が政権を取ると、何事もなかったようにまたマスコミに現れた。同時に民主党ご用達はほぼ消えた。日本もアメリカを笑えない。5-30人の人々の使いまわしではないか。
 猿田さんは新たな外交の境地を開こうと出てきた。弁護士であり、ニューーヨーク州の弁護士資格も持つ。しかし、猿田さん自身が認めているように、「日本では、まだリベラル外交の理論ができていない」。トランプの登場は、もしかしたら今日までの使いまわしの人ではなく、新たな論客を必要とするチャンスを提供するかもしれない。

[2017/01/25]
がり勉激減、認知症激増



 昨年の出生数はついに100万人を割り、高齢化率は26.7%になった。超高齢超少子社会はますます深刻だ。社会保障や労働市場の政策はあたふたと対応しようとしているが、人口構造に打つ手はない。いや、実はあるのだが、できない。
 そこで、今トレンディなのが、がり勉の激減と認知症の激増だ。もう今や大学全入時代。欲を言わなければどこかには入れる。我々のころは国立と私立では授業料が数倍も違っていたので、がり勉して国立に入ろうとした。今は私立の授業料は、国立の2倍程度。私立文系は理系の科目を一切やらずに通る。推薦入学も多い。
 司法試験や公認会計士の試験は、国の方針で合格者数を増やしたが、他方で就職難を招き、「どうせ受かっても苦労するばかり」だから、がり勉してまでやる意味がない。その代り、経歴に「司法試験予備校で勉強」(ある市会議員のパンフ)と書き、志が「経歴」だ。もっとも、中退、留学も実は同じ意味だから、許容範囲か。
 他方で、高齢者の会話は、かつての癌への恐怖から、認知症への恐怖が席巻するようになった。人数の多い団塊世代が癌発症のピーク年齢を過ぎたからである。「あの人、認知症じゃない。いつも同じ話ばかり」「私、カバンに入れたはずの鍵がない。鍵が逃げて行ったのかしら」。そして、会話はお金に関することが多くなる。「どうも嫁が私の財布から金を抜いたらしい」「あの時のお金まだもらっていない」。
 電車の中で、ぼけ老人とスマホでゲームを楽しむ若者が互いを見る。若者は「早く死ね、ぼけ老人め、お前らの年金払ってられないよ」、老人は「我々の時代はあんな馬鹿な若者はいなかったが」とそれぞれ心で思っている。



前ページTOPページ次ページ






(↑)このページのTOPへ

プロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会募集 HOME

(C)2009. HIROKO OOIZUMI. All rights reserved.