元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
プロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会募集
日々雑感
[2017/09/13]
金銭よりも服



   先週、インドで貧しい村に所得創出活動を行ったアンシュ・グプタ氏の話を聴く機会を得た。グプタ氏は、「衣服の男(man of clothing)」と呼ばれていて、社会事業家としての国際的な最高賞、マグサイサイ賞を受賞している。
  グプタ氏は、ある時乞食が近づいてきて、お金ではなく着るものを下さいと言った一言に、ひらめきを覚えた。乞食は寒くて死にそうだった。そうか、金も食べ物も住む家もない人は服もないのだ、と。
 当たり前と言えば当たり前だが、若い頃、インド・ユニセフに出向して開発援助の仕事をしていた私も認識していなかった。グプタ氏は、早速、都市部などから古着を集め、服を提供する一方、その布を使って、バッグやサニタリー用品を作る事業を起こした。このことが貧しい村に所得をもたらすようになったのである。
 ユニセフ時代、私も、所得創出活動(income generating activities)は、開発援助の手法のひとつとして勤しんだ。織物づくりや、ヤギを与えて増やしていくことや、些かの所得をもたらし、女性はそれを子供の教育に使おうと必死になった。ただし、これらは織機やヤギ数頭など投資が必要で、所得を得たら、それを返還していかねばならない。
 グプタ氏は、古着というタダの「資源」を使い、貧しい人々が投資する必要のない手法を取った。ここが彼の優れた素質を語る。「チャリティでなはい、起業だ」。彼の信念が事業を成功させた。そして、彼は、村人の変化を遂げた姿を写真で示した。裸だった子供が服を着ることによって、貧困に落ち込む姿から夢持つ少年の姿に変わった。ぼろをまとう初老の男は、きちんとした服を着ることによって、見下げられた状況から、仕事を頼める男に変わった。
 貧困救済を金や食べ物ではなく、衣服から始めたというのは、方法論でのイノベーションだ。また、チャリティではなく、自分で稼ぐシステムを作ったのもイノベーションだ。私は、グプタ氏の話に感動した。イノベーションは、科学の世界で新たな発見をすることだけではない、身近な方法論の改革もまたイノベーションなのだと知った瞬間だった。

[2017/09/09]
保育所落ちた、山尾も落ちた



   党首選後にまるで仕掛けられたような山尾氏の不倫報道。民進党が自浄できないで5年、マスコミが親切かお節介か分からぬが、自然解党を仕掛けたとみるのも一興。
 政治とは不倫をすることなり、は昨今の状況だが、山尾氏の失脚は、他の不倫議員とは意味が異なり、むしろ豊田真由子の失脚に近い。それは、男性社会で成功してきた人物だからである。今井絵理子のように男に頼らねば生きていけないから、不倫に至ったのではない。
 山尾氏も豊田氏も試験制度を突破し、確固とした職業生活を送った上で、政治に出てきた。当然に、人より多く勉強した人間は、勉強不足の多い国会議員の中では「使いもの」になってきた。それは男性ならば好ましいことだが、残念ながら、今の世になっても、女性の場合は手放しで称賛されない。
 フェイスブックのCOO(最高責任者)である女性シェリル・サンドバーグがそれを指摘している。「女性は仕事ができても、服装や態度が常に問題とされる」。全米トップクラスの成功者であるサンドバーグが著書「リーン・イン」の中で、女性の社会的活躍には、伝統的な価値感や男女を問わずの嫉妬などが足元をすくうと警告している。
 周囲にその動きがあることを知らないまま、自分の成功に慢心してしまったのが、山尾氏であり、豊田氏なのだ。周囲のモグラたちは機会あれば彼女らを引きずりおろしたいと思っていたのだ。知らぬは本人ばかり、まさに世間知らずの試験秀才の哀しさと言えよう。
 国会議員の学歴で一番多いのが、実は東大である。しかし、女性の東大卒は極めて少ない。東大は、男性にとっては好ましい学歴だが、女性にとってはそうではない。女性はキャスターや地方アナウンサーなどが好まれ、優しく美しいイメージで、実際に選挙に強い。彼女らが「子供のため、女性のため」と言えば、だいたい、票は集まる。
 有権者が議員を選ぶ基準は男女で異なるのだ。いいとか悪いではない、人間には生物的な反応だってある。それでも、サンドバーグは言う。前に積極的に進め、と。しかし、それは「リーン・イン」、つまり、もたれかかって背をかがめて進んでいくことであり、山尾氏や豊田氏がこれまでやって来たように、堂々と風を切って歩いていたのでは、潰されるだけだ。
 二人に老婆の助言をしよう。議員を辞め、山尾さんは弁護士を、豊田さんは外資系の会社でリーン・インし、キャリアをやり直すことだ。二人とも若いから、その上で、政治に戻ってきたらいい。民間の経験は、リーン・インの方法をしっかり教えてくれるだろう。官僚出身で、幾度も選挙に敗れた私が、今、まぶしく思うのは、民間で転職をしながらも、確固と自分を築き上げた女性の友人だからである。

[2017/09/04]
国際チャリティ・デー



 9月5日は、国際チャリティ・デー。ちょうど20年前のこの日、マザーテレサが亡くなったことに因んで、国連が決めた。一昨日、私は、都内でチャリティと題した講演会の講師を務めた。
 30年余り前、マザーテレサがインドのコルカタでホスピスを運営していた頃、私は、厚生省から出向してユニセフのインド事務所(ニューデリー)にいた。1979年にノーベル平和賞を受賞したマザーテレサは既に有名な人であった。
 ノーベル平和賞の授賞式には、いつもの木綿の服を着、サンダル履きで現れたマザーテレサは、受賞スピーチで神の愛、貧しい人の感謝の心などを淡々と語った。晩餐会は欠席し、賞金は貧しい人のパンを買うために使われた。これは有名な話だが、マザーテレサらしさがそこに表れている。
 もちろん、マザーテレサは19歳でカトリックの修道女としてインドにやって来た当初から順調に仕事ができたわけではない。カトリックの押し付けであるとの反発も経験している。
 国連機関のユニセフで仕事をしている私から見れば、宗教団体のチャリティ活動は羨ましいところがあった。自分の考えで仕事ができ、資金も豊かで、施設も立派だった。ユニセフは国連加盟国であるインド政府との協議により政府の方針に則って仕事をする。インド全体を対象にするため、立派な施設などは作れない。
 実は、ユニセフは国連機関でありながら、珍しくチャリティ機関でもある。加盟国にユニセフ国内委員会を設け(日本はユニセフ協会)、そのチャリティ資金を活動に充てる。チャリティで活動する機関は、寄付者に活動内容を報告するのが大事である。継続的にチャリティが続くには、その活動に賛同してもらわねばならない。
 幸い、ユニセフは、WHOと並んで、現地主義で仕事を行う、活動の見える国連機関であり、日本を始め支援は滞らない。私は、講演会では、ポリオワクチンの需要調査を人海戦術で行っていること、カシミール州で女子生徒に学校に来てもらうため便所づくりをしたことなど具体的な活動をお話しした。
 日本は仏教国で、「喜捨」という考えは元からあったが、チャリティ活動は、明治時代にキリスト教とともに入ってきた。したがって、チャリティの土壌がそもそもあったわけではない。アメリカ、イギリス、ドイツなどチャリティが盛んな国は宗教と繋がった歴史的な理由と、チャリティが税金の代わりとして支払える寄付金控除制度の存在が大きい。
 日本のチャリティ機関で大きいのは、中央共同募金協会(赤い羽根募金)と日本赤十字社だ。いずれも厚労省管轄下であり、私は職業的にかかわった。1990年代まで赤い羽根共同募金は年270億円のチャリティがあったが、現在では180億円まで下がり、年々減少する傾向である。町内会などの組織的強制募金に対する批判や格差社会で「募金される側」に回った人が多くなったのが原因である。
 日本赤十字社は、災害の時に力を発揮する。記憶に新しい東日本大震災では3300億円のチャリティを集めた。災害時、衆議院議員だった私は、地域の人からよく聞かれたのは、日赤のお金はどうなったのかということだ。日赤では都道府県ごとに判断をして被災者に義捐金を配分しているので、一括して公表に及ばないとのことだった。チャリティが続くためには、ユニセフの件で上述したように、活動が募金者に見えることを念頭に置く必要があると私は思う。
 さて、日本はチャリティの盛んな国を真似る必要があるだろうか。そのためには、上述の寄付金控除制度は要になる。これに似た「ふるさと納税制度」が、豪華なふるさと特産品とのギブアンドテイクになっているという批判を考えると、チャリティの土壌の薄い国で、欧米のような寄付控除制度の導入は疑問がある。そして、日本は、本来、チャリティで行う活動も政府が掬う。たとえば、介護保険。マザーテレサの仕事はホスピスと介護が大きいが、日本では国の仕事として制度化された。
 国の仕事はチャリティではなく、税金で行われているのだが、これも自分の懐から出ていく金ならば、国の事業活動も見える形で納税者が喜んで納税できるようにしなければなるまい。我々は、税金もチャリティもその活動を見極め、必要ならば自ら出て行って、その活動に携わる行動に出ることが望まれる。それが成熟国家であると考える。

→バックナンバー
大泉ひろ子物語
YouTubeにて発信中!
大泉ひろ子-市政について
大泉ひろ子-つくば市への想い


政策チラシ 9号[ダウンロード]

[バックナンバーはこちらへ
]

連載小説
民主党を辞めた理由
新しいつくばをつくるみんなの会
アーカイブズ内容
 孫のいない時代 [2015.4月〜2016.2月]
 第二の性を生きる [2014.11月〜]
 老人大陸の平和 [2014.7月〜]
 少子高齢と地方 [2014.4月〜]
 ザ・コーセーショー [2014.2月〜]
 戦後生れの終戦後 [2013.12月〜]
 死生観と行政 [2013.10月〜]
 団子より花へ [2013.6月〜]
 長寿の涙 [2012.1月〜]




(↑)このページのTOPへ

プロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会募集 HOME

(C)2009. HIROKO OOIZUMI. All rights reserved.