元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2022/06/22]
量から質へ―教育と社会政策



 参院選は国政評価の機会を提供する。これに合わせて岸田内閣の経済政策である「新しい資本主義」と「骨太」が公表された。前者は中長期計画、後者は予算編成方針だが、一般の評価はそこそこである。
 今回は防衛費と物価高が争点になりそうだが、そもそも経済政策はこの30年、つまりバブル崩壊後失敗続きであり、誰も政府の方針を明るく受け止めてはいない。小渕首相の財政出動も、小泉首相の規制緩和も、安倍首相の金融緩和も、結果的には日本経済の復活につながらず、日本は、借金まみれで、消費意欲の低い「貧しい国」に甘んじている。
 経済政策ばかり前面に出ているが、労働力を作る教育や、消費意欲に関わる社会保障・社会政策は、経済政策に内包された責任を持つ分野である。
 教育は、明治以来の義務教育、昨今の高等教育において量的な問題は終っている。日本社会にとって求められる教育の質が問題であり、その質の議論はゆとり教育を始めダッチロールを続け、労働生産性向上につながる結果にならない。また、社会保障・社会政策は今だに量の問題、即ち財政論が中心であり、質の問題にまで到達できない。
 最近、栗原慎二広島大大学院教授のお話で、いじめや不登校など問題を抱える学校の解決に導くケースメソッドを学んだ。岡山県総社市、宮城県石巻市で行われた子供自身の解決能力を使った試みである。生徒、地域、教科以外のプロフェッショナルが参加して自ら解決方法を考え実践する。栗原教授はこの方法をイギリスなどの実践から学んで確立し、見事に成功した。
 筆者の理解では、これは、教師や教育委員会が上に立って解決する「企業のようなやり方」ではなく、いわばゲマインシャフト(情緒的な共同体)を作って、共同体が問題児をそのメンバーとして扱うことにより、健全な日常を取り戻す方法だ。確かに、これまで、企業のようなやり方、即ちゲゼルシャフト的な方法では解決できなかったのであるが、上下関係ではない信頼関係を築くことにより解決に導いたのはうなずける。
 栗原教授によれば、日本の教員は優秀だが、それは教科を教える上で優秀なのであり、学業が優秀であると言うに過ぎない。問題行動に対しては、上から下に教えるのではなく、見守る姿勢が必要である。それができない。ゲゼルシャフトは集団利益を得るための共同体だが、ゲマインシャフトは非合理性はあるものの個人の利益を守る共同体である。
 質の議論に程遠い社会政策の分野においても、民間主導で「ゲマインシャフトづくり」が行われている場合もある。筆者が最近見学した薬物乱用者の民間更生施設では、まさに、治療者が被治療者を治す上下関係をなくし、被治療者同士の交流やマッサージや健康食を口にしながら、穏やかな日々を重ね、当たり前の日常に戻っていく方法をとっている。幸い、費用は企業の社長がすべて寄付しているとのことである。
 これもゲマインシャフトづくりに他ならないだろう。
筆者は東京生まれ東京育ちでゲマインシャフトの経験はない。しかし、日本人の圧倒的多数は、地方から都会に出てきた経験者であり、青年に至るまでにゲマインシャフトの経験がある。ゲマインシャフトは一方ではうるさい田舎のしがらみであり、長老の独断的な関りであるかもしれないが、他方で、だれ一人取り残さない包摂社会であることも事実だ。
 都会に出てきて合理的なゲゼルシャフトで心を病み、果てはひきこもり、薬物乱用など非社会的・反社会的行動に至った人々の心を癒すのは、ゲマインシャフト的な集団に置くことだと思われる。
 さて。話は少々飛躍するかもしれないが、経済政策の基礎である消費構造を変えるには、ゲマインシャフトの集団作りが効果あるかもしれない。社会に不安があるために貯金するしかない日本人の行動を劇的に変えるには、その発想が必要である。

[2022/06/11]
一億総「病名あり」の時代



 2021年、世界で初めて、内閣府に孤独・孤立対策担当大臣が設けられた。「政府は孤独死など放っておきませんよ」とのメッセージを発したわけだが、「これって、結婚しろ、子供を産め、というメッセージと同じくらい私的領域に踏み込んでいないか」という見方もある。
 バイデンが大統領選に使った「多様性」のキーワードは、同質社会の日本でも、従来、徐々に取り入れられてきた。教育現場で難しい子供に発達障害や学習障害の病名がつけられ、特殊学級など対策が講じられてきた。発達障害の一つアスペルガー症候群は、少なくとも団塊世代の筆者の世代には聞いたことのない病名だった。病名ができて対処ができて、病名付きの子供が増えた。
 大人の世界でも、かつては、モラトリアム人間、アダルトチルドレンなどと著作が時流に乗っただけだったが、今では、たくさんの精神疾患の名称ができて、「誰もが精神病」になって、スティグマ(汚名)が解消されている。
 LGBTQについては言うに及ばず、原因を研究するよりも、そうなのだから仕方がない、それを社会が受け入れないのが間違っているとして対策が先行している。
 以上は、生物的要因による「障害」なのだから、抵抗できないし、対策を練るのは是とすべきであろう。しかし、孤立・孤独や、未婚率の上昇、子供を産んで後悔(博報堂調査で女性の4割)などは、社会が原因をつくっているので、その現象だけをとらえて減らそうとする対処方法は間違っている。生物的要因と違って、原因をなくすことが真の対策であろう。
 石田光規早大教授によれば、70年代は老人の孤独、90年代は被災者の孤独が社会問題になったが、2000年以降は全ての人の孤独に敷衍した。特にコロナで外出が制限され自宅に逼塞していれば孤独者が増加したことは言を俟たない。
 政府は、外出自粛や飲食店閉鎖が大量の孤独群を作り出してきたことを反省すべきであり、子育て支援を保育所増設だけで切り抜けようとする対策も反省すべきである。非正規雇用の社会が後戻りできないのであれば、結婚適齢期の若者に住宅や結婚費用の援助をすべきである。原因を潰さなければ現象は治まらない。
 老人の孤独にはタダで行ける公共施設をつくること、育児不安にはシルバー人材の女性を活用すること、病名のつく新時代の疾患には対応する窓口を置くこと、国や自治体ができるのは問題の原因を取り除く努力、そこまでだ。それでも、孤立し、社会に適用できない場合があったとしても、人の心にまで入る対策はあり得ないだろう。
 
 
 

[2022/05/10]
日本の財産を守る



 日本の2%に迫る物価上昇は、言うまでもなくロシア侵攻が引き起こしたエネルギー価格、穀物価格の上昇が連鎖した現象であり、日銀は「決していいインフレではないが、金融緩和政策は継続する」と明言している。ピークアウトに向かうコロナの政策から経済回復政策に舵を切った岸田政権は成功するか。
 現在、税収は上がり、円安状況の中で輸出産業に力点を置けば「日本回復」は望めないわけではないとの議論も出ている。元祖宏池会の池田勇人を信奉する岸田総理としては喜ぶべきなのかもしれない。
 だが、いかんせん、ウクライナ危機の長期化とインフレの進行は国民の生活を圧迫する要素であり、安閑としていられないはずである。この時点で、日本の財産とは何か、守るべきものは何かを点検する必要がある。ウクライナ危機については、単一民族かつ島国の日本が、錯綜したロシアやウクライナの歴史や民族感情を分かるはずはなく、隣接した欧州の思いや、アメリカの真の意図も計り知れない。
 日本は西側諸国の一員として、アメリカに追随し、軍事以外のロシア制裁に加担するのは良しとするしかあるまい。日本はそういう立場なのだから。しかし、改めて、日本が戦後77年間、西側に置かれてきた立場で手にした「財産」をこの機会に一つ一つ見直してみたい。
 先ず憲法。今年の憲法記念日は何事もなく過ぎたが、2015年の安保法制の議論で、既に憲法どうあるべきは決着がついたのであろうか。確かに安倍元首相のいつもの舌足らず癖は目立ったが、憲法学者が徒に難しくした集団安全保障は確認されたのであり、これは憲法制定当時の国連憲章などを参照し、法律というよりも政治的に内包された制度として受け止めざるを得ない。
 日本の輸入品財産の中、憲法は良質な輸入品であり、自力では作れない代物だったから、少なくも基本は大切にすべきである。他の輸入品である、民主主義はどうか。国際社会においては、立派に日本に根付いた価値と公言できるが、日本国内ではかなり変形されている。世襲政治がまかり通り、民主主議の方法論を利用した貴族政治に堕しているところは、不良な輸入品である。フィリピンでマルコスの息子が大統領になるのと変わらぬネポティズム(血族主義)が政治と政治の息がかかった大組織に厳然と存在している。
 同様に、輸入されたジェンダー論も一度も勢いづいたことがない。民主主義と同様に、上から与えられたウーマンリブを押し頂いた日本は、ジェンダーギャップ世界120位と先進国では考えられない位置にある。日本の女性はそもそも欧米の、あるいは開発途上国の女性の活躍を少しも羨ましいと思っていないのか。もともと自ら求めもせず、与えられたから、政府主導のジェンダーギャップ政策に乗ってきただけなのか。これも不良な輸入品である。LGBTQも然りである。日本の草の根から発した価値でないものは、大成しない。
 社会保障制度はドイツの社会保険制度を真似て発展してきたが、これは胸を張れる日本の財産だ。問題は、子供の保障はこれでいいかとの観点だ。大伴家持に言わしめた「勝れる宝、子にしかめやも」は、古来、日本が子供を大切にしてきた財産であることを語っている。その財産を産もうとしない民族になってしまったのは、政策の悪さが響いている。
 ウクライナ危機、知床の観光船事故、虐待で、最も心痛むのは、子供の死である。乳幼児死亡率が世界的に下がり、医療は高齢者をいかに長生きさせるかに軸足を置いているが、究極の政府の役割は、国民の夭折をなくすことである。だから戦争も、事故も、乳幼児への犯罪も避けねばならない。
 輸入品でない日本の財産の第一は、子供である。財産を増やすべく、人口政策に取り組み、かつ、輸入品の価値については、日本流に変えていく努力を必要としている。
 

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