元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2025/02/06]
てなもんや三度笠



  1960年代のテレビ人気番組に、藤田まこと主演の「てなもんや三度笠」があった。江戸末期と思われる時代設定で、藤田まこと演じるあんかけの時次郎と旅の道連れチビの珍念が道中で巻き起こすドタバタ喜劇だ。
 その珍念をニックネームに持つ山口敏夫元労働大臣のお話を聞く機会を得た。山口さんと言えば、新自由クラブを担いだり、渡辺美智雄を総理にしようと画策したり、果ては詐欺罪で収監されるなど「お騒がせ」な衆議院議員ではあったが、機をみて行動する筋金入りの政治家と言ってもよい。引退して久しいと思っていたところへ、2016年、都知事選に突如立候補したが、志叶わずだった。
 山口氏は、1985年男女雇用機会均等法を成立させたときの労働大臣である。80年に女子差別撤廃条約に署名したものの女性雇用の不平等を是正できないまま条約を批准していなかった日本だったが、山口大臣の下で成就させた。山口氏は、女性労働官僚に「なぜ日本は、女性の雇用についてここまで放置してきたんでしょう」と問われたときに「それはあなたたちの問題でしょ」と答えたそうだ。
 確かに条約の署名から5年、労働省の女性局長に赤松良子(故人)が就任するまで放置されたのは、日経連などとの激しい交渉を乗り切れるだけの能力に長けた赤松の登場を待っていた感がある。
 山口氏が言わんとしたのは「人のせいにするな、自分でやれ」ということだ。まさに、山口氏は、進んで火の中に飛び込む性分で、そのためにお騒がせ議員となったのである。今、これだけの信念と行動力のある政治家はいるだろうか。珍念の名のごとく、小柄だがあふれる政治パワーを持つお人である。
 政界ドタバタ劇に関与してこられた山口氏の今も変わらぬ政治の真理を語る姿に心惹かれない者はいない。山口氏いわく「自民は野球で例えれば、一軍のみならず代用の二軍まで揃えている。野党は一軍のメンバーすらも揃え切らない。そこが違いだ」。正しい。自民の一軍の資質も怪しいが、少数与党に追い込んでも連立政権を創れない野党は一軍の人数も足りないからだろう。長い間の職業意識の低迷がこの状態を招いている。
 五里霧中で行く道すら定まらぬ今のカオス政治に、政界の知恵袋を活用すべき時だ、てなもんや。

[2025/01/02]
謹賀新年



2025年、新たな年を迎え、お慶び申し上げます。

 年末に閣議決定された一般会計予算は115兆円。1972年度、筆者が社会人に踏み出した年の予算は11兆4千億円。たまたま「いい世に走る」の語呂合わせで当時の予算額を覚えていたが、半世紀後に十倍になった事実は、誰も喜んではいないはずである。予算の三分の一は借金である。
 政治不信というよりは政治カオスの状況の中で、巨大な予算を今の為政者に任せてよいものか、国民の多くは不安に思うのではないだろうか。この国の将来、この国の子供や若者は、70年代のあの頃に比べて豊かで幸せな人生が送れるのか確信が持てない。
 2025年は、団塊世代が全員75歳に達した年。しかし、この表現を最後に、年々の特徴は、団塊世代ではなく、ロスジェネ世代と生まれ来る世代に焦点を当てるべきだ。評論以上に分析されていないロスジェネ(団塊ジュニアとほぼ同じ)の経済社会指標と毎年の合計特殊出生率が政治や社会の最も重要なターゲットにならねばならない。
 具体的に言えば、中高年の大胆な雇用政策と人口を意識した少子化政策が経済社会の発展のためにトップを飾らねばならない。トランプ大統領のアメリカ第一主義は世界の国に対する表明だが、日本は、国内に対し重点課題を呼び掛ける表明が必要だ。政治カオスで溺れかかっている政治家が与野党含め、国民に何も呼び掛けていないとは摩訶不思議な国だ、日本は。

[2024/12/26]
何も変わらない、で良いのか



 少数与党の臨時国会が閉幕した。国民民主党の主張を慮り103万円の壁を123万円に引き上げ、政策活動費は廃止したが企業・団体献金は将来の課題に引き延ばしたことは、やれやれ従来の自民党らしいやり口だ。これに抗えぬ野党のだらしなさも変わらない。
 石破総理は「熟議の国会」と評価するが、むしろトランプ流のディールの国会ではないか。野党にちょっとだけエサを与えて終えることができたのだから、第一戦は自民党の勝ちかもしれない。
 しかし、いかにトランプを真似ようと、政治の陣容が天と地の差だ。トランプには、イーロン・マスクとJDヴァンス副大統領がついている。天才と文才を備えた陣容だ。かたや、石破総理の土俵入りを見よ。露払いは玉木国民民主党党首、太刀持ちは前原維新の会共同代表だ。一体、自民党の輩は総理を放っておいて何をしているのか。いつ毒を飲ませ(野党提出の不信任案に賛成)、安楽死を図らせるかを狙っているのではないか。
 1993年、宮澤喜一内閣が不信任案を突き付けられたときに自民党から裏切り者が出て成立してしまった。洋一は喜一の甥である。彼の103万の壁に対応する税調会長としてのふてぶてしい態度は伯父に似て、内閣不信任案につながる可能性十分である。歴史は繰り返すぞ。
 懐刀を持たない石破総理は裸の王様である。トランプ次期大統領との面談も、安部昭恵、孫正義に先を越された。外務省は謝ることもしない。総理は部下からバカにされているとしか思えない。仏頂面で片言の英語も話さない総理が、好き嫌いの激しいトランプの寵愛を受ける可能性は低い。外務省はジャパンハンドラーたちと総理の振り付けを協議し、時間を稼いでいるのだろうか。
 だとすれば、103万の壁、企業・団体献金と同じく、日米外交もまた何も変わらない。総理持論の日米行政協定の改訂やアジア版NATOは論外だ。
 石破総理、もし国会の熟議を評価するのならば、露払いの国民民主と太刀持ちの維新をばひきつけ、自民党内の毒を消せ。まさに毒を以て毒を制し、総理としてやりたいことがあるのならば、その手を使うべきだろう。もしこのままズルズルと党内の毒気にさらされ続けるならば、永年総理になりたかったのは、ただ椅子に座りたかった総理だったということになりかねない。
 

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