元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2019/11/20]
制度を変えれば社会が変わるー世界こどもに日に寄せて



 11月20日は、国連が定めた「世界こどもの日」。1959年の児童権利宣言、1989年の児童権利条約の国連における採択も11月20日に行われた。日本も、児童権利条約の発効は1994年11月20日である。しかるに、1954年、国連が加盟国に子供の日の制定を促したことから、日本は子供の日を5月5日に制定したため、今日が世界こどもの日であることを知っている人は少ない。
 
 現在国連が掲げるSDGs(持続する発展目標)17のうち、飢餓、貧困、医療、教育の分野では子供が最優先の課題であることは疑いを差し挟む余地はない。そして、子供の権利擁護機関の筆頭に当たるのがユニセフ(国連児童基金)である。

 筆者は80年代半ば、厚生省からユニセフの中北部インド事務所に出向し、3年余を開発援助の分野で働いた。現在、ユニセフは子供の権利を重視し、SDGsを目標にして活動している。筆者が働いていたころのユニセフは、GOBI−FFという目的であり手段でもある援助哲学を掲げていた。

 その内容は、成長記録(G)、哺水療法(O)、母乳(B)、予防接種(I)、さらに、家族計画(F)、出生率(F)であった。予防接種を除けば、お金のかからない援助方法であり、優れた内容である。しかし、今から思うと、80年代は、子供のインフラ(衛生、教育、福祉)整備は戦前の植民地支配の尻ぬぐいであり、家族計画などは70年代に叫ばれた人口抑制を念頭に置いたものであった。

 当時は、W.W.ロストウの唱える、インフラを整備することにより、開発途上国はテイクオフ(離陸)し、発展すると考えられていたが、現地で仕事をしながら、その日が来るとは信じられなかった。国連機関としてできることはまさにバケツの中の一滴でしかなかった。

 しかし、あれから30年以上たち、インドは国内総生産世界7位の国に発展した。80年代は眠れる巨象と言われていたインドだったのだ。中国もまた国内総生産世界2位の国になり、2030年にはアメリカを抜いて1位になる。80年代には眠れる獅子と言われていた。象も獅子も起き上がった。きっかけは、インドは、ソ連崩壊から、東寄り政策をやめ、市場原理を重視する政策を採用したからだ。中国は毛沢東の死後、ケ小平が、政治は共産主義でも、経済は特区を利用しながら資本主義を採用したからだ。

 制度が変われば社会は変わる。少しづつ国連や政府がインフラ整備をしていたのとは違い、人々の行動が変わり、社会全体が動くようになったからだ。もはやロストウの経済発展論は見当たらない。ついでに、暗黒大陸と言われてきたアフリカにおいても、南アフリカは、アパルトヘイトを廃止し、マンデラ元大統領によって急速に発展した。まさに制度の変換が国を一変させた例である。
 
 小さな呼び水が発展につながるのではない。大きな制度変換が一躍発展させると筆者は信じてやまない。翻って、日本の福祉を鑑みれば、1997年の介護保険法、2000年の社会福祉法は、それまでの施し(措置制度)から市場原理(社会保険による権利)の制度への変換をもたらした。市場原理になじまぬの理由で、児童福祉と障害福祉はこれを回避したが、老人福祉である介護の世界は、これを受け入れ、権利化したことにより、法の施行から20年近くで、9兆円の介護産業を作り上げた。

 制度は人の行動を変え、社会を変える。筆者はそう信じている。世界こどもの日の今日、いじめも虐待も子供の貧困も一向に政策的な前進が見られない状況の中で、児童福祉や教育の世界も、もっと競争原理を取り入れ、リスクと思われるほどの制度変換を望んでならない。

[2019/10/16]
韓国の先にある中国



 韓国の曹国法相が辞任して、いよいよ文在寅政権は危機状態に陥ろうとしている。この状況は、筆者が民主党政権に与していた時代に酷似している。民主党(当時)は、政権交代を頂点に党勢が日々下り坂になり、辺野古基地移転問題、尖閣諸島中国漁船衝突事件、東日本大震災における福島原発事故の対応などで目くるめく拙劣さを表し、野田元首相のヒステリー解散を極め付きにして総選挙で惨敗を期した。文政権は最早この轍を踏む以外の何物でもない。

 実は、文政権と当時の民主党とは外交政策が似ている。文大統領が目指すところは、大国アメリカと中国との間に立って、韓国がバランサーとなり独自外交を築きたいのだ。旧民主党も脱「アメリカ一辺倒」で中国寄りを重視していた。韓国の場合は、バランサーとなる手段として、北と統一し、人口7千万の大国を作って、北の資源、南の技術を以て繁栄を目指す。むろん、文大統領だけでなく、朴槿恵前大統領も、保守政権とは言え、中国に近づいて米中の間に入る外交を試みていた。しかし、文在寅大統領の場合はあからさまにその意図を表明しているのである。

 米中貿易戦争が真実には大国の覇権争いであるという認識は定説化している。それを知らぬかのように、文大統領はGSOMIAの廃棄など、アメリカの虎の尾をわざわざ踏んで危険極まりないことをやっている。アメリカが文大統領の意図を許すわけがない。

 他方、文政権が本気で中国に近づいているかと言えば、そうではあるまい。そもそも歴史上中国大陸の王朝の属国だった韓国やベトナムは中国を好ましい存在と思っていない。米中両大国のバランサーになろうとするのは理想的過ぎて、リアリストが占める国際政治の世界では不可能と言うべきなのである。

 その点では、安倍政権のように、日米同盟を強固なものにし、貿易協定では、譲歩しすぎるほどアメリカに従順であるのは、国際政治の舞台では現実的で正しい方法なのだ。国際関係は理想を掲げる場ではない。旧民主党と同様、文政権はそれを知らないと見える。

 さて。最近、北京、重慶などで事業に大きな成功を収めた中国の一行に会う機会を得た。中国は今、アメリカに譲歩するよりも踏ん張って、2020年代後半にはアメリカのGDPを抜き、IT、AI、5Gの分野で世界トップを目指している。一党独裁で政府の決断が早く、成長産業には国のバックアップも得られたため、事業の成功者は、桁外れの富も得ている。

 しかし、意外だったのは、成功者たちが口をそろえて、少子高齢社会に進む中国の次のビジネスは介護事業だと言ったことだ。実際にそのために日本に視察に来ている。筆者は数年前、中国で介護施設や介護士養成学校を作るための日本側の仕事に若干かかわったことがあるが、中国の老人ホームは、台湾資本などが多く、要介護に至る前の「老人の遊び場」というコンセプトである。したがって、老人ホームは終の棲家ではなく、最後は自宅で死を迎える。つまり、日本の介護施設などを見学しても役に立たないのである。

 中国が少子高齢社会で目指すビジネスは、高所得階層に限られてくる。なぜならば、介護保険も医療保険も整備されていないので、老後には、膨大な金がかかるからだ。他方の少子化のほうも、2015年に一人っ子政策が廃止され、共産党幹部などは2人生むように奨励されている。しかし、教育費が大きいので、一般の人は2人生みたがらないと言う。なぜなのだ、共産主義国ではないのか。医療も教育も金がかかりすぎると言うのが共産主義国の悩みとは理解できない。
 
 韓国人も中国人も、我々と同じモンゴロイドで顔は似ている。しかし、お互い理解し合えているとは思えない。むしろ、筆者がかつて住んだ、アメリカやインドの方が、知識人の学問がアングロサクソンのものであり、日本と共通しているため分かりやすい。ただ、韓国と中国を比べると、日韓は、違いが強調される傾向があるけれども、共通点がはるかに多く、上述した外交でも見たように、今の韓国と旧民主党は相似形だ。それに対して、同文意識の強い日中は、ほとんど共通点はない。まったく違うと思って付き合った方が、無駄な軋轢は生まない。

 どうせ同じ顔をした我々なのだから、韓国とはそこそこ分ろうと努力し、中国とは絶対分かり合えないが共通の利益をみつけていくという姿勢が必要だ。

[2019/10/09]
気候工学の可能性



 昨日、機会を得て、ハーバード大のデイビット・キース教授の講演を拝聴した。教授は、地球温暖化防止の大規模技術である気候工学(ジオエンジニアリング)の専門家で、ハーバードではケネディスクール(行政大学院)でも教鞭をとり、政策発言も重視している。

 教授のプレゼンはDAC(二酸化炭素の直接空中接収)の工学的説明が主であったが、門外漢の筆者にとっても、産業をこのまま維持した場合、二酸化炭素排出制限した場合、そしてこのDACの技術を応用した場合を比較すると、画期的に、DACの地球温暖化阻止の威力を感じさせる。

 もっとも、気候工学は、様々な方法論が学会で主張されているが、まだ発展途上にあることや、むしろ化石燃料使用を容認する結果を招くとの批判も出ているのが現状である。また、この欄では、かつて、筆者はCCS(炭素接収貯蔵)について紹介したことがあるが、CCSと同様、これら先進工学の応用はコストの問題も解決できていない。

 キャノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は、キース教授のプレゼンを受け、DACのコストが年150億ドルで日本の二酸化炭素を10%減らすことができるのならば、現在の再生可能エネルギーの賦課金は年3兆円だから、コストパフォーマンスは悪くないと付言。

 しかし、杉山昌弘東大准教授は、物理学的に気候工学を批判する観点から、二酸化炭素の空中含有については千年単位で考える必要があり、技術的に一旦地球を冷却する効果が出ても、その後気温が急上昇する可能性を指摘した。つまり、技術的には、道程は遠い。

 杉山東大准教授のお話で面白いと思ったのは、開発途上国のほうが気候工学の実験に積極的な姿勢をとる傾向がみられ、また、この分野の技術発展は、日本、中国及び韓国が、科学先進国が進めていくべきととらえているとのことだ。この言をあえて解釈すれば、温暖化先進技術に自信のある欧米が行えばよいということになるか。さらには、開発途上国は、欧米にキャッチアップするまでは、化石燃料を使わしてもらうということになるか。

 杉山准教授は、日本を始め儒教ベースの国においては、科学技術に対する観点が異なると指摘する。他方、キース教授はそうは思わないと発言した。現実には、気候工学は欧米で盛んであり、確かに日本を含め儒教ベースの国では、欧米に任せていると言えるかもしれない。夢物語に手を出さないのか、それとも先進科学に乗り遅れるのか。

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