元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2018/12/18]
CE(サーキュラーエコノミー)とは



 最近、物財研名誉研究員でありサステイナビリティ技術設計機構代表理事の原田幸明先生の話を伺う機会を得た。かなり難しい内容だった。
 日本は、70年代のオイルショック以来、省エネ化に成功し、その先端技術を担ってきた。80年代の日本独り勝ちはまさにその日本の取り組みによってもたらされたと言っても良い。世界はキャデラックから日本の小型車に代わったのはいい例だ。
 そもそも日本は、江戸時代に物の修繕や人糞の肥料化など世界にも注目される循環型社会を作っていた国であるから、省エネやリサイクル技術が得意な民族であったわけだ。
 ところが、今年9月、フランスの提案によって、ISO(国際標準化機構)でCE(サーキュラーエコノミー)の標準化が採択され、日本やアメリカは反対したが、90年代から資源効率の改善を意識してきた欧州に日本は座を奪われた状況になった。事実、90年代は日本が見本とされていた資源効率は、近年、欧州に負けるようになった。
 原田先生は、従来の「循環」型社会と分けて「CE]をそのまま使用しているが、実際に、この二つは異なる。単に資源を循環させるにとどまらず、CEは技術を投じて多様な付加価値を生むという発想である。
 「循環」との違いは、さらに、欧州でよく使われるデカプリングの方法が使われているところにある。カップルを切り離すと言う意味のこの言葉は、具体的に、経済成長と環境負荷の増大はカップルであったのを、環境負荷を増大させずに経済成長をもたらそうとするものである。
 欧州では、長らく農業のデカプリングとして生産と切り離して所得補償をする制度を行ってきた。まさにその方法論である。日本では、欧州の制度を採り入れ、民主党政権の重要な政策の柱とし、農業者所得補償制度を導入したが、立法化できず予算措置にとどまり、持続する政策にはならなかっという例もある。
 CEにおいては、循環が再資源化や最終処分の減量に留まるのに対し、リビルド、リペア、直接使用などを通して物の残存価値を徹底的に引き出す。また、PAASと言って、製品を売るのではなくサービスを売るのがCEである。原田先生曰く、従来ならば、何かを切るためにはハサミを買うという発想になるが、実は「切る」というサービスを買うのが直接的欲求に合っている。つまり、物の丸売りではなく、その機能、そのサービスを売るプラットフォームを作るのがCEの役割である。
 海岸に打ち寄せる大量の使用済み製品を思い浮かべるとき、CEは夢の解決方法のようであるが、実際に解決する技術力に到達するか、難処理廃棄物を拡散させないかなどの問題があると原田先生は指摘する。
 カタカナ政策やローマ字政策は今まで成功したためしがない。企業が成長して行政指導が不要になった旧通産省では、80年代やたらにカタカナ政策が打ち出されたが、筆者が知る限り成功した例は聞いていない。だが、CEは、学問的にも政策的にもコンセプトの土台が堅固だ。日本はISOでの採択に反対したが、日本語で噛み砕いて分かり易いものにしたら政策的に使えるかもしれない。政府が推進している「ソサイエティ5.0」も分かりにくく人口に膾炙しないが、これもまた世に伝える役割を、政治家や官僚にもたせるべきではないか。
 難しいが、CEをもっと学ぼう。

[2018/12/15]
米中冷戦時代の始まり



 中国通信機器大手ファーウェイ(華為)のナンバー2である創業者の娘がカナダで逮捕されたニュースは、サウジアラビア出身のジャーナリスト、アショギ氏がトルコで殺害された事件にも増して、世界中を驚かせた。背景に米中冷戦の存在が見えてきたからである。
 トランプ大統領については、マイケル・ムーア監督を始め知識人が「本来のアメリカを取り戻せ」と声を上げている。しかし、トランプ大統領が世界に発しているメッセージは明確である。「シェール革命でアメリカは中東に石油依存する必要はなくなった。今は、知的財産権と安全保障の両面から中国を叩くことに専念する」。
 トランプ大統領は、カショギ事件に関しては「サウジアラビアはアメリカの武器を大量に買ってくれる良い客なのだから」と、ムハマンド皇太子の事件関与を放置することにした。その一方で、貿易戦争で中国を締め上げつつ、情報の世界支配を狙う象徴であるファーウェイを潰しにかかろうとしている。トランプ大統領は敵が誰かを決めたのである。
 TPP破棄、温暖化阻止のパリ条約離脱、イラン核合意離脱など、オバマの業績を次々と潰していくトランプ大統領は、アメリカファーストの下に、外交方針を明らかにしている。欧州では、中心的存在だったが政治的敗北に陥ったメルケル独首相、国民の支持を失ったマクロン仏大統領、EU離脱で躓くメイ英首相など、領袖の力が軒並み落ちている中で、トランプ大統領は独り独自の外交を繰り広げる。
 しかし、トランプの外交が根拠なしに行われているわけではない。雑誌「フォーリンアフェアズ」にポンぺオ長官は「イランは核合意を箕にして、経済制裁を解き、中東の覇権を狙う」とイランの様々の「悪事」を語り、トランプ外交の正しさを主張する。オゾン破壊でノーベル賞を受賞したマリオ・マリナが「人間の活動で温暖化が進む事象は97%の科学者が信じる」と言っても3%が信じないなら、疑わしきは罰せずの理屈も通る。トランプは「私は信じない」と言ってパリ協定から離脱した。
 ただし、TPPの破棄はトランプ外交と矛盾する。中国が進める一帯一路にとって、TPPは太平洋諸国の別ルールが存在するため邪魔だったが、トランプが保護貿易主義を掲げて自ら破棄してくれたのだ。中国は、あたかも従来の米国の立場を勝ち取ったかのように、自由貿易主義を標榜し、WTOの立場を強調した。ただし、そのことで、EUを味方に付けるつもりが、EUはそもそも中国を信頼していないので、反応してはくれなかった。
 トランプ大統領は、当初、習近平主席と和気あいあいの関係を演じ、習近平を「立派な指導者」と褒め上げたが、いかにも商売人らしく、「ディール」に及ぶと態度を一変させ、中国製品に対する関税引き上げに出た。今や両国の貿易戦争は、万全と言われた習近平の地位も揺さぶるまでに至っている。また、トランプは、もともと不仲の中国と北朝鮮関係を視て、北朝鮮をカードに使おうと考えたのかもしれない。
 トランプ大統領が商売人なら、次に来るのは「落としどころ」だ。既に米中戦争は始まったが、しばらくは、落としどころのある起伏の激しい状況が続くのだろう。そして、かつて「プーチンを尊敬する」とまで言ったトランプ大統領が老練の策士プーチン大統領とはどんなバトルを演じるのであろう。とりあえずは、中国か。
 日本の安倍外交は国際社会で信頼を得ている。国際法違反の徴用工判決をいかにして覆すか、トランプの仕掛ける米中冷戦にいかに臨むか、日ソ平和条約をいかに実現させるか、安倍首相の行動が注目される2019年となろう。
 

[2018/11/26]
若者の主張



 過日、ある公益団体の主催する若者の弁論の審査委員を務めた。予選を勝ち上がってきた若者たちは、いずれもプレゼンがうまく、納得させる内容であった。
 若者が選んだテーマは多岐にわたった。自らの国際体験や社会問題も勿論あったが、異色だったのは、志の立て方ややる気の出し方といったテーマが登場したことだ。前者は偉人に学べ、後者は心理学を使って心の発露を見つけろ、というもので、力作であった。
 聞きながら思ったのは、我々団塊世代は、いわば満員電車に乗せられて、進学、就職、結婚という名の駅を、仲間に引きずられて大量に降りて行った。降り立つことに疑問を差し挟む余地はなかった。みんなが当たり前に考える人生の夢を端くれでも持っていれば、簡単に結果を得たような気がする。
 しかし、今の時代は難しい。より高学歴化、専門化、少数精鋭化した中で、いかに志を立て、いかに目的意識を以て生きるのか、それ自体が大きなテーマになっている。考えあぐねて引きこもりになることもあろう。志を持て、やる気を出せ、というテーマは抽象的だが、若者の、しかも多くの若者の悲痛な思いを表したものであることが分かった。
 これに対して、筆者は若者に助言する術を持たない。確かに、人生の分岐点ごとに進む道を決めてきたが、判断ミスも多く、さりとて、いま、後悔しているわけでもない。人生はやってみないとわからないからだ。逡巡する暇はなかった。長らく生きれば、そういう結論になる。だから、考え過ぎずに前進あるのみだとしか言いようがない。
 もう一つ、若者のテーマの中に、性道徳が入っていたのも驚いた。若者の行き過ぎた性交渉を憂慮し、結婚と性を同時にすべきであるとの主張は、団塊世代よりも以前の「リバイバル」である。家族社会学の山田昌宏教授によれば、団塊世代前後は恋愛と結婚がイコールであり、今の若者は恋愛と結婚を分けて考える、そのことが少子化を生むと言う。卓見だ。実は若者は出会いがないから結婚しないのではなく、恋愛と性のフリーマーケットの中で、結婚まで至らないのだと言う。
 こうなってくると、古色蒼然の団塊おばさんが若者に助言することはできない。時代逆行は難しい。しかしながら、若者の間から、性交渉の行き過ぎのテーマが出てきた事実は、ファッション化した潮流に入れない人が存在することを意味する。志を目指して「自分探し」を続ける若者がいるのと同様、潮流に流されたくない「自分」がここにもいる。
 西洋の諺Strive not against the streamは、東洋でも同様、流れに棹さすな。流れのまま生きれば一定の結果を得た我々古い世代は、流れに乗れない若者を守り、その力を信じよう。彼らの手によって21世紀の奇跡が起こることを祈る。

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 孫のいない時代
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