元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2021/03/22]
下り坂の日本に疫病、地震そして水害



 1月のIMFの予測によれば、コロナ後の経済成長率は、世界平均4%である。インド11%、中国8%、アメリカ5%、欧州4%、日本は3%。世界の経済強国の中で、日本だけが平均以下という試算である。日本のコロナ対策、オリンピックの海外からの無観客、国の借金上積みなど、海外の日本を見る目は厳しい。加えて、森元総理の女性蔑視発言は日本を揶揄する好機を与えた。
 国内では「すべてパンデミックが原因だから仕方がない」が政治においても世論においても主流で、下り坂で迎えるであろう、これからの新たな疫病、地震、気候変動によってもたらされる台風などの水害について、前向きの議論が聞かれない。しかし、コロナからのレジリエンスには、経済回復だけでなく、あらゆる災害の予防が必然である。さもなくば、安全安心の国はありえない。
 今般、水文学が専門の寶馨京大教授のレクを聴く機会を得た。寶教授によれば、高潮や洪水などの水害は、地震に比べると経済被害や人命損失などの数値は低い。例えば、巨大災害による経済被害の試算では、南海トラフ地震が1240兆円、東京湾巨大高潮が46兆円である。
 しかし、2019年の東日本豪雨や2017年の九州北部豪雨など、気候変動との関連も考えられる大水害が日本を襲っている。筆者は、鬼怒川の近くに住むが、2015年の鬼怒川洪水は海からではなく山からの洪水が死者14名を出す被害をもたらしたのである。筆者の住むやや上流で決壊したが、その時初めて土地を選ぶときに川の近くを何の考慮もなく選んだ自分の災害に対する甘さに気付いた。
 災害対策基本法は1959年の伊勢湾台風を契機として制定されたが、近年の法制度では、河川法、水防法の改正により、住民が危険情報を日常的に知ることができるようになっている。しかし、寶教授は、近年の小さな政府・少ない予算の下では、公助ばかりではなく共助(コミュ二ティの互助)や自助努力が必要な時代になったと言う。
 超高齢社会で、日々の健康には大いに自助努力をしていても、災害については「忘れがち」である。公助に期待するものが大きい。国民から見れば「政府はやること一杯で忙しい」「予算がない」は言い訳にしか感じられない。要するに優先順位を高くしないということなのだろう。大地震ももちろんだが、大水害も下り坂の日本に大きな打撃を与えることは必至だ。
 2028年にインドのGDPは日本を抜き、日本は世界4位になる。2050年の日本の人口は世界15位に落ちる。大災害が日本を壊滅させるかもしれないことを考えれば、災害対策予算の優先順位は高く上げねばならない。寶教授が挙げた以下の数字は、その必要性を現実的に指摘している。
 医療 医師 32.7万人
 国防 自衛官22.7万人
 防犯 警察官25.5万人
 防災 消防士16万人
 

[2021/02/20]
子育て政策に科学を




 「ヒトの発達の謎を解く」の著者である明和政子京大大学院教授のお話を聴く機会を得た。この欄で以前紹介した山極寿一元京大総長と同じく京大霊長類研究所で、チンパンジーとヒトの違いからヒトの発達を研究し、子育ての科学で大きな発言力を持つのが明和先生である。
 チンパンジーは6ー7年かけて子供を一頭づつ大人にしてから、次の子供を産むように仕組まれている。ヒトはそもそも子供を超未熟児として生み、成長までの時間が長い上に、未熟児を抱えたまま次の子供を産む。これは、ヒトが母親だけではなく、「共同養育」により生存、進化してきたからであると先生は説く。
 共同養育を生物学的に運命づけられているにもかかわらず、人間社会では長らく「子供は母親が育てるもの」である文化を作り上げてきた。筆者が90年代半ばに厚生省で児童行政に携わっていたころ、「子供は3歳まで母親が育てねばならない」三歳児神話や「保育所育ちは幼稚園児に劣る」という根拠のない意見が世の中で支配的であり、行政も、保育所の整備に及び腰だった。
 しかし、少子化対策の要として保育所が位置付けられてからは、女性の社会進出やデフレによる共働きの必然が状況を変えてきた。いつの間にか保育園児の数は幼稚園児を抜き、保育所に入れないことが「保育所落ちた。日本死ね」というほどの問題にまで達するようになった。保育所は一定の地位を得たのである。
 この事実は喜べない。明和先生の言う「共同養育」こそが本来の子育てであるという発想が受け容れられたわけではなく、少子社会と生産年齢人口の減少という背景から、女性の労働力をバックアップする形で、子育ての省力化、利便化を図ろうとしたのが近年の保育所の発展にすぎないからである。
 90年代半ば、少子化政策が始まったころに明和先生の研究成果が出ていれば、「量的に増やせばいい」という政策の在り方は違っていただろう。母親が労働市場にいようがいまいが、共同養育の施設として全ての子を対象に、専門性を高めた施設の在り方が求められてきたはずである。
 母親が産後うつやヒステリーになるのは誰にでも起きる現象であり、それを抑制できるのは共同養育者の存在である。父親はもちろんだが「イクメン対策」は徐に改善するにとどまり、祖父母、保育士のみならず、もっと様々なボランティアを含む社会資源を政府主導で制度化すべきである。
 脳科学や心理学から既に多くの指摘が出ているように、なべて乳幼児期に信頼できる養育者が複数いる子供は青春期の不安定を乗り越えやすい。また、明和先生の指摘によれば、ヒトは15歳くらいで性的成熟を遂げるが、脳が成熟するのは25歳くらいであるとのこと。社会は、法制度的にではなく、生物学的に真実に成熟できるまで「共同養育」の立場で若者を見守っていく必要があると考える。
 医療の現場ではEBM(Evidence Based Medicine)が注目されているが、教育、福祉の現場では遠い先のことのようだ。政策立案者も統計だけではなく、ましてや政治家の思い付きを忖度するのではなく、科学的な政策策定に向かわねばなるまい。少子化政策と子育て政策に求められるのは、今まさに科学である。


 

[2021/01/16]
北極の夢




 コロナで再び「鎖国」と「自粛」の体制に入る中、国内外の重要課題は置き去りにされた感がある。その一つが地球温暖化であろう。その温暖化の象徴が、いつも映像に現れる北極の氷の崩落だ。
 此度、北極研究で知られる山口一東大大学院教授のお話を聴く機会を得た。山口教授は長年にわたって北極の海氷域面積の縮小を研究してこられた。北極は、温暖化の象徴以上に、科学の研究対象の宝庫であり、産業振興や災害政策にもつながる重要な課題を抱えることを知った。
 温暖化による解氷は、ロシア側とカナダ側の北極海航路を開き、アジアと欧州間、アジアと北米東海岸の距離を3ー4割減することができた。輸送などの経済効果を生み、かつ資源開発の可能性も大にしたのである。北極海航路が政治的に安定しているならば、スエズ運河やパナマ運河を利用するよりもはるかに安価になる。
 ただし、北極は南極とは異なり、大陸ではなく、海であるので南極条約のような平和利用のための国際条約がない。国連海洋法条約が適用されるが、課題はロシアやカナダの内水を通過するため、その利権が考慮されねばならない。運航や開発が自由にできるというものではない。
 かつては、日本からの欧州便はソ連の上空を飛行できないため、アラスカ経由で北極の上を飛んだ記憶がある。現在は欧州はみなロシア上空を通って直行便で行けるようになり、時間が短縮した。北極海航路も自由主義議国にとってはカナダの方が使いやすいそうであるが、北方領土返還を含め、ロシアとの友好はここでも必要になってくる。
 日本は、ノルウェー、ロシアと協力して北極海航路の研究を行ってきたが、近年では、北極の経済性を認識して、中国や韓国も日本を真似ようとしている。特に中国は、経済力と科学への投資に力を入れていることから、北極海航路を一帯一路に含め氷のシルクロードと呼んで積極的に開発参入を狙っている。
 北極における日本の解氷予測はきわめて正確であり、日本が北極科学をリードする可能性は高いが、ここでもまた予算の制約がある。砕氷機能の付いた北極研究船がようやく予算化された。この船を持たないと船を持つ国と同等に研究ができないそうだ。
 科学者は第一線に出たときに「先進国日本のはずなのに・・」と思わされる場面が多いであろう。必ずしも経済性だけを目指すのではなく、基礎研究にふんだんな予算を組める国になってほしい。カネで中国に負けるのは先達研究国として残念ではないか。コロナ対策も経済政策とのバランスで大きな投資をしなかったのが失策と言われる所以ではないか。
 

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