元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
プロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会募集
日々雑感
[2018/01/22]
西部邁氏の死を悼む



   音楽家の不倫・引退会見、相撲界の再びの不祥事、北朝鮮の平昌五輪参加、いつもの喧(かまびす)しい報道の一方、西部邁氏の多摩川入水自殺は殆ど伝えられなかった。
 神経系の病に侵され、頭脳明晰は変わらぬものの、先生は死を予告していた。知識人界、言論界では、巨星堕つ、だ。きら星は流れ星の如く闇に吸い込まれていった。
 マスコミは保守系評論家、と彼を表する。先生はもともと経済学者だが、私には、社会思想家と言った方がピンとくる。社会科学のあらゆる分野で知性を惜しみなく発揮する。芸術も造詣が深い。何よりも、議論を始める前に、言葉の定義を語るが、この深さ、面白さ、歴史観、世界観に驚愕する。
 西部先生はこと民主党に関しては手厳しかった。かなり早い段階で「この党は解体するしかない」と言い放っていた。御自身は、60年安保闘争から足を洗って保守の論客に転じた経験があり、似非(えせ)革新を何より嫌った。民主党は、もともと非自民だけを標榜して、労働組合と松下政経塾が、それぞれ砂糖と塩を競って入れ続け、甘いのでもなく辛いのでもなく、保守でも革新でもなく、議員という地位を得るためだけの坩堝(るつぼ)となった。
 西部先生の予告通り、民主党、それを継いだ民進党、希望の党は解体寸前、今や時間の問題だ。解体序盤に仲間から外された立憲民主党だけが旧社会党再来のような形で残ったのは皮肉だ。
 私が2012年の総選挙で敗北した後、民主党を辞めたのは西部邁氏の影響なしとは言えない。政党も主知主義をとらねばならないとの西部流思想を選び、損得勘定だけの、土台のない政党を忌み嫌うようになったのだ。民主党政権時代に民主党が喜んで使った論客である山口二郎、金子勝、植草一秀、浜矩子などは皆、民主党系から距離を置いている。知識人界、言論界から遠ざけられた政治が成り立つとは思えない。
 西部先生は決して政権寄りでもない。安倍政権にも批判は向けてきた。しかし、右から左までの論客と渡り合い、西洋史に比べ議論の足りない日本近代史を論理的に再考し、自然主義的な日本の思想の基礎は保守主義であるとの確信は揺るがなかった。
 残念無念。西部邁は、もういない。日本の知性の柱は堕ちた。

[2018/01/11]
人口問題元年



2018年が明けた。どのマスコミも今年の課題は、北朝鮮と憲法改正の趣向を伝えている。もう少し踏み込めば、表面的と言われる好景気に対して労働分配率の向上が図れるかが、それに次ぐ課題だ。
 しかし、国家的課題は庶民の生活には遠い。人々は、介護保険料などで減る年金、いつの間にか「エリート」施設になった認可保育所に入れるかどうか、セクハラや不倫や猟奇事件に巻き込まれないか等、心配しながら日々を生きている。身を守ることに必至だ。
 その世相を反映してか、年末年始の街は心なしか静かだった。クリスマスの装飾も音楽も長年経験してきたが、2か月前の「新参」ハロウィーンにすら負けた。浅草寺や明治神宮の初詣客の多くがアジアの言語を話している。日本人は「引きこもり」になったか?松の内が終われば、成人式の日に、着物レンタル会社が負債を負ってトンズラし、若き乙女が一生一度の晴れ着を着る華やかな機会を失った。
 まるで人々が本当は危うい日本を察知し、華々しさから逃げるように、引きこもり状態に入ったような気がしてならない。本当は危うい、とは何なのか。北朝鮮問題は毎日のニュースで伝えられているように、少なくも政府が最優先の課題として取り組んでいるのが見えているが、他に日本の土台を揺るがす社会的問題があって、それは取り組んでいるように見えないことだ。
 人口問題と借金財政だ。昨年は94万の子供しか生まれていない。団塊世代の3分の1だ。借金は優に千兆円を超え、その対策は語られない。この2つは庶民にのしかかっている問題であり、2課題は互いに関連している。人口問題がある程度解決つけば借金は返しやすいからだ。
 AIが発達する世に人口は少ない方が良いとか、外国に借金していないのだから心配無用という議論がさんざん行われてきたが、そんな「ふてくされた」議論のために、人々は委縮してしまったのだ。先ずは人口問題に取り組むべし、それをやらねば消費は回復せず、真実にデフレ脱却はできない。
 社会保険中心に社会保障制度を構築することを決めた1950年、年金と老人医療の改革によって福祉元年と名付けた1973年、最初の少子化対策1994年と最後の社会保障制度である介護保険法1997年。戦後ほぼ20年おきに人々の生活に密着した制度が造られてきた。そう、最後の介護保険法からほぼ20年、今年2018年こそは人口問題に取り組むべき年である。
 

[2017/12/28]
睡眠科学と社会的問題



   今週、柳沢正史・筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長のお話を聴いた。柳沢教授は、血液収縮作用を持つエンドセリンとナルコプシー(眠り病)の原因となるオレキシンを発見し、利根川進、山中伸也に続くノーベル医学生理学賞の日本人候補として期待されている。
 1991年から24年間にわたって、テキサス大学とハワードヒューズ研究所で研究を重ね、2010年には、内閣府の最先端研究開発支援プログラムから18億円の研究費を獲得し、其の後帰国して現在に至っている。
 哺乳類だけでなく、殆どの動物は睡眠する。昆虫、魚類、爬虫類、線虫、そしてクラゲも睡眠することが判明している。チンパンジーなど人間に近い動物は人間よりも長いが一定の時間眠る。動物によって睡眠時間が一定しているそうだ。
 先生のお話を記録するのは別の機会に譲るが、先生の結論は「なぜ眠るのか、なぜ眠気が来るのかはまだ解明できていない」であった。ただ、最近はやり出した「睡眠負債」は、労働生産性や国内総生産の低下につながることを十分考慮に入れねばならない。東京人は、世界の都市生活者の中で一番睡眠時間が短く、平均5時間28分分である。先生は、日本がドイツに比べ労働生産性が低い(ドイツの方が1.6倍)のも、ある試算によれば睡眠負債による日本の国内総生産3%損失も有意味に捉える必要があるとのことだ。
 睡眠科学は生物的な研究が主で、これまでも、疾病との関係は報告されてきた。それこそ先生自身がナルコプシーの治療にオレキシンが使えることを発見したのである。糖尿病やメタボなどにも研究は広がりそうだ。将来に向かっては、社会科学のアプローチが必要なのではないか。睡眠と寿命、知能、性格、睡眠の性差、年齢差などがすぐにでも研究テーマになるのではないか。
 意外な政策的解決方法が見えてくるような予感がする。その意味でも、柳沢教授の今後に大いに期待したい。先生は、アメリカが長かったせいか、最近ノーベル賞を取った「もの静かな」研究者とは異なる。青色LEDの中村修二教授や利根川進教授によく似たアグレッシブさを感じた。もしかしたら、今の日本に欠けているのは、研究や企業のアグレッシブさかもしれない。少子高齢社会の中で、アグレッシブがかき消されているのではないか。
 飲み会で、柳沢先生は、「アメリカに比べて日本食はうまい」と言った。そこだけ日本の男性みたいだった。

→バックナンバー
大泉ひろ子物語
YouTubeにて発信中!
大泉ひろ子-市政について
大泉ひろ子-つくば市への想い


政策チラシ 9号[ダウンロード]

[バックナンバーはこちらへ
]

連載小説
民主党を辞めた理由
新しいつくばをつくるみんなの会
アーカイブズ内容
 孫のいない時代 [2015.4月〜2016.2月]
 第二の性を生きる [2014.11月〜]
 老人大陸の平和 [2014.7月〜]
 少子高齢と地方 [2014.4月〜]
 ザ・コーセーショー [2014.2月〜]
 戦後生れの終戦後 [2013.12月〜]
 死生観と行政 [2013.10月〜]
 団子より花へ [2013.6月〜]
 長寿の涙 [2012.1月〜]




(↑)このページのTOPへ

プロフィール 日々雑感バックナンバー 後援会募集 HOME

(C)2009. HIROKO OOIZUMI. All rights reserved.