元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2019/05/02]
先進茨城県はあるのか



 茨城県人の自虐ネタは「相も変わらず全国魅力ある県47位、つまりビリ」であることだ。茨城県人の自慢は「農作物の北限南限のすべてが穫れる全国2位(時に3位)の農業県」であることだ。これだけ見ても、茨城県は印象が薄く、全国に知られていない県と言ってよい。

 歴史をたどれば、尊王攘夷の源である水戸藩は、桜田門外の変で失敗し、後進藩であるはずの薩長に尊王攘夷の旗手を奪われ、明治の藩閥政府の下では冷や飯食いになった。水戸藩(茨城県)の得た公職はお巡りさんばかりだった。
 
 そのせいもあって、近代政治になっても大物政治家が登場せず、梶山静六が総裁選に出たのが頂点で、勿論、総理大臣の登場は誰も期待していない。安倍首相が山口県(長州藩)8人目の総理であるのとは対照的だ。

 しかし、尊王攘夷を掲げたこの2つの県はその保守性において相似する。ただ、同じ保守でも中身は違い、長州(山口県)が成り上がり者の策士と陰険さを持つのに対し、水戸(茨城県)はあっけらかんの風情で、他人に褌(ふんどし)を取られても気づかないような楽観主義だ。

 そんな風土だから、戦後公選知事になってから、初代の官選知事からの転換を除くと、60年近くもたった3人の知事がいずれも長く藩主のごとく「君臨」してきた。変化を拒む保守性の土壌は、茨城県を知名度の低い特徴のない県にしてきた。2017年、通産省出身、トップビジネスマン、海外にも通用する大井川現知事が現職を破って当選したときは、何かが変わるという期待感が久しぶりに漂った。
 
 しかし、優秀であるはずの現知事もかなわぬ保守性の壁に突き当たったのかもしれない、やはり茨城は茨城のままだ。県庁の組織改正も驚くほどのものではない。

 ところが、ここに来て、現知事がLGBTのために差別禁止の条例を制定したいと意思表明したのである。知事の国際社会での活躍歴や夫人がリベラル弁護士であるという観点から見れば、決して驚くべきことではないのだが、保守土壌は今、騒然としている。LGBTのパートナーシップを積極的に認めるのは、渋谷区、世田谷区、杉並区などいずれも都内であり、しかも、首長はリベラル系だ。大井川知事は自民が推す保守系なのである。

 どうやら自民党の反対で、条例まではいきそうにはないが、知事は何らかの形でLGBTの権利確保を約している。このことは筆者が2000年、山口県副知事の時に全国3番目に男女共同参画条例を制定する過程で激しい反対運動に遭ったのを思い出させる。国からの出向だから、筆者は全国に先駆けたかったのだが、保守土壌の下では、47番目になるまで待てばよかったと今では思っている。ちなみに山口県庁が県庁ランシステムを取り入れたのも全国47位だった。
 
 大井川知事さん、LGBT容認を全国に先駆けるのは、茨城県では難しい。魅力ある県47位なのだから、47番目まで待つしかない。それよりも、知事の得意なビジネスの世界で、イノベーションの世界で、先進県を目指してほしい。筆者も老婆となってやっと、土壌が整わなければ種をまいても仕方ないとの思いが先んじるようになった。老婆心からのお願いだ。

[2019/04/22]
定常型社会とイノベーション



 この欄で「夢人口」を語る広井良典京大教授を紹介したことがあるが、過日、彼の話を直接に聞く機会を得た。広井教授は、厚労省の我が後輩であり、若くして学問の世界に移った経歴の人である。久しぶりに会い、「僕は(厚労省の)ドロップアウトですから」と謙遜したが、勿論、そんなはずはない。多くの論壇の賞を取り、日本の未来の道を指南する屈指の人材である。

 広井教授は社会保障政策の学究と紹介されるものの、本質は、科学史・科学哲学をベースとし、農耕社会が始まった1万年の歴史の流れを捉え、現代社会の社会保障を論じる稀有な論客である。「夢人口」では、「現実とは脳が見る共通の夢」と言い、未来不確定の子供、認知能力の低下する高齢者はそれぞれ夢を見る集団であると言う。
 
 今回の話は、定常型社会。経済成長を絶対的な目標としなくても、十分な豊かさが実現していく社会と定義する。ホモサピエンスは1万年前に農耕というイノベーションを起こし、それが定常化するにしたがって、4大文明などが発達した。17世紀には産業革命というイノベーションを科学の発展とともにもたらし、資本主義、民主主義の価値を擁した社会に我々は位置する。

 イノベーションは今も我々の社会のキーワードである。AIやバイオ科学に期待がかかる。しかし、広井教授によれば、資本主義は直近の金融資本主義をもって最終駅に行き着いた。市場原理をベースに成長を追い続ける手法は終焉を迎えると警告する。確かに、人口も先進国における減少に始まり、22世紀初頭100億余りで定常化し、成長を支える要素が後退していく。さらに、地球環境の問題は成長の後退に拍車をかける。
 
 もう成長はいいではないか、産業革命後の新たな定常状態が既に出現し、ポスト資本主義社会の構築を待っていると広井教授は説得する。その姿は1972年、ローマクラブが著書「成長の限界」で、食料・エネルギー危機の到来から人口の抑制を叫んだ姿と重なる。ローマクラブをさかのぼる百年も前に、実はJ.S.ミルは同じことを提唱していた。つまり、定常型社会の論は古くて新しい議論なのだ。
 
 一昨年の科学者会議で、筆者はたまたま「成長の限界」の著者デニス・メドウに会う機会を得た。彼の限界論の後に起きたイノベーションで、世界はローマクラブの提唱を反故にした。農業もエネルギーもメドウの予測を打ち砕く発展を遂げたからだ。メドウは「それでも私は今も私の考えが正しいと思う」と言った。筆者は、昔読んで茶色くなった彼の著書にサインをしてもらったが、彼の顔色はなかった。

 ミル、メドウに続いて約50年ぶりに広井教授が定常型社会を提言する。マクロ的な話であるから、ある日突然定常型社会になるのではなく、これからもいくつかのイノベーションを経験しつつ、しかし、定常状態になっていくと考えるべきだろう。その定常型社会をポスト資本主義社会と呼べば、既に五感をもって髣髴と感じられる。我が国は失われた30年(まさに平成が丸ごと)を経験し、特に国民一人当たりのGDPにおいて国際社会での地位を著しく下げた。20世紀から21世紀にかけて奇跡と言われたアジアの躍進も、我が国を追いかけるように少子高齢社会が始まり、もうそう長くは繁栄の中心ではいられない。

 時期を同じくして、小林剛也財務相地方課室長の財務省が取り組むイノベーションについてお話を聞いたが、海外に売れる日本酒の開発など現実的な事業に財政的に関わってくのがイノベーションというなら、それは賛同すべきと思う。しかし、時代を、世紀を超えてのダイナミックなイノベーションが定常型社会を打ち砕くだけのものになるかどうかはわからない。我々が経験した成長型の経済社会よ、もう一度はハードルが高い。
 
 ここは、厚労省出身者が誇る広井良典教授のさらなる研究成果に期待しよう。
 
 
 

[2019/04/12]
深層海洋への誘い



 過日の会議で、海洋物理学者の日比谷紀之東大大学院教授のレクを聴いた。それは息を飲み込むほどのファンタジーな内容であった。

 我々が親しんでいる親潮・黒潮などの表層海流の下に、深海を循環する海流があり、月の潮汐によって引き起こされている。その深層海流は、北大西洋からアフリカの南、南極大陸の北を通り、太平洋に出て、回転し、ユーラシア大陸の南を通って、再びアフリカの脇を通って北大西洋に帰る。この行程は1500年かかる。現在太平洋に戻ってきた海流は、前回は日本に仏教が伝来した6世紀ころのものだと言える。

 太平洋で回転するときに寒流から暖流に変わり、過去12万年の気温変化は深層海流の影響であるとの研究結果が出ている。現在気候変動は主に二酸化炭素による温暖ガスで説明されているが、実は長期的に考察すると、深層海流が原因ともなる。深層海流が停止したら、北大西洋の気温は5度以上低下する。つまり、現在の気候変動の科学は100年タームで議論され、1500年タームの話ではない。
 
 地球物理学は46億年の科学であるのに比べれば、1500年は一瞬だが、自然科学の壮大さの前に、10年単位で経済社会を論じる社会科学の理論は、真理探究の学問とは言い難いではないか。

 日比谷先生は、大気で起こる乱気流と同じ深海の乱流の観測を続けている。月の潮汐が駆動する深海の流れに改定の凸凹が乱流を起こす。乱流観測機は一基5千万円で日本では生産されていない。当然のことながら予算には苦労する。

 はやぶさ2の活躍が目覚ましい現在、宇宙の解明や太陽系の成り立ちに日本が直接挑んでいるのは喜ばしい。ならば、深海の物理が地球の未来を示唆する存在であることにも同様に金をかける必要がある。超高齢社会で低速化している日本経済社会では、大きな夢を抱いてはいけないのか。否、学問、イノベーションこそがブレークスルーを見出すであろう。
 
 月の潮汐と関係して、深層海流以外にも、ウナギの養殖への影響を指摘した研究がある。人間のお産も月の重力と関係していると言い伝えられてきたが、今のところ、有意味な研究成果は得られていない。月は太陽と違った形で生命や自然現象に影響していることを改めてファンタジーに感じた。
 

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