元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2017/11/18]
加齢のパラドックス



   先日、三井住友海上福祉財団の今年度財団賞を受賞した松浦常夫実践女子大学教授の受賞記念講演を聴いた。先生は、交通心理学の専門であり、今回は「高齢ドライバーの安全心理学」の著作で受賞した。
 我々の間でも、よく「運転すると人柄が変わる」ドライバーが結構存在するが、運転をするときには性格や属性による心理状態があるらしい。高齢者一般がどんな心理で運転しているかは考えたこともなかったが、かく言う私自身も、高齢化率というときの高齢者には入るわけだ。若いころに比べ、遠出や知らないところに行くことはなくなったが、運転そのものは慎重になったわけでもないし、何も変化を感じていない。
 松浦先生のポイントは、高齢者は、決して高齢を理由に「安全・ゆとり運転(補償運転)」を心がけるわけではないことである。高齢者は、幸せパラドックスと加齢パラドックスを擁していて、「若い頃より幸せ感がある」「運転もベテランだし、老いても大丈夫」という心理にある。
 この心理の壁が危険であると先生は指摘する。今、70歳以上のドライバーの免許更新に認知症テストが課されているが、高齢者のこの加齢パラドックスについて、どう教育していくかは今後の課題である。交通事故の加害者も被害者も高齢者が多いことは言うまでもなく、そうは言っても都内23区で暮らすならいざ知らず、筆者のように茨城県の田舎暮らしでは車なしには生活ができない。
 AIによる自動運転が進み、一人乗りの超小型車が普及し、電気自動車・水素自動車の技術がますます向上する中で、自動車業界は10年も経たぬうちに一変すると言われている。欧州では、ドイツが2030年、イギリス・フランスが2040年までにガソリン車の販売を禁止する。スウェーデンのボルボは2019年ガソリン車の製造を中止する。さらに、中国は、ガソリン車販売禁止の検討を今年開始した。
 いったい日本は何をやっているのだ。いつ「脱ガソリン宣言」をするのだろう。せめて、高齢であれ、どんな条件であれ、同じように運転できる自動運転技術で、他国に先駆け、交通事故ゼロ社会を一番に実現しよう。

[2017/11/15]
供給が需要をつくる



   ある医療団体の会合で、医療経済学者が言った。「高齢社会だから医療費が上がるという厚労省の説明は間違っている」。過去40年間のデータを数理解析したところ、医療費増嵩の一番の理由は医師の数である。医師が1%増えると医療費はほぼ1%増え、高齢化率は1%増えても医療費は0.1%しか増えない。明らかに、医療の世界は、供給が需要をつくるという経済の原則が働いている。特に医師は、私大医学部の場合だと多額の金をかけて医師になるので、生涯所得で「回収」する心理が働くであろう。
 医師だけでなく薬剤師・看護師の数も響く。厚労省と文科省が医師会の意向を汲んで医学部新設を認めず、医師数を抑制してきたが、最近は、供給過剰になった歯科医師数を国家試験合格率を60%台に落とすことによって抑制し、薬剤師はまだ飽和状態にはないが、国家試験合格率がこれも60%台になり、抑制されている。その上、薬学部が2006年から6年制になった影響で、薬学部の不人気が認識され始めている。
 代って、人気なのが看護学部だ。薬学部も看護学部も女性の入学者が多いので、6年かけても薬剤師になれぬなら、看護学部を選ぶ。4年制看護学部は、70年代には全国2大学だったのが、現在は300近くある。しかも、かつての3K職業のイメージから、大病院の正看になれば大きな給料ももらえる。だが、せっかく看護学部に入っても、卒業できない、国家試験に受からない、就職したくない、就職後1年もたない割合が高く、看護師の労働市場は決して拮抗しない。
 医療の現場を与る人材はそれぞれ問題を抱えている。供給が需要を作るのであれば、その供給の質を確保できなければ、厚労省の役割は、抑制政策しかあるまい。一市民としては、良質の医療人にあたるかどうかは「運」でしかない。嘆かわしい。もっとも、タクシーで大暴れの弁護士、不倫大好きの国会議員を始め、世に範を垂れる存在は無くなったから、医療者だけに聖人君子は求められない。ただ、世の中がいかに劣化しても、命に係わる職業の人々には、崇高なプロフェッショナリズムを持ってもらいたいのは、哀しき日本人の願いだ。
 

[2017/11/11]
保育から教育無償化へ舵を切る少子化対策



    大義なき解散と言われつつ選挙に勝った安倍首相は、余裕綽々でトランプ親子を歓待し、他方、暗転して「失望の党」となった希望の党は共同代表に玉木氏を選んだ後も、見るからに愚図愚図している。かつて村山首相の社会党は自民党にすり寄ったことで、自らのアイデンティティを自ら潰して斜陽党になった。民進党出身者も、アイデンティティを押し殺して自民補完勢力を選び社会党と同じ運命を選んでしまったね。
 もうしばらくは面白いこともなさそうなので、この話はやめることにし、瓢箪から駒、ともいえる安倍首相のにわか公約「消費税引き上げ分を使って、2兆円の教育無償化」に焦点を当てよう。選挙の大義に使うために持ち出した政策かもしれないが、かねてから、少子化対策のネックは、保育所に偏り過ぎ、子供を持つ負担で一番大きい教育対策は望まれていた。
 大学教育の無償化は既に反対も多く、財源も大きいため、先ずは幼児教育の無償化から始めるようだが、認可保育所の保育料の自己負担分が真っ先に対象になっている。保育は福祉であり、教育ではないとさんざん知らしめてきたのに、しかも、教育を担う幼稚園の存在理由はそこにあったのに、あっさりと保育を「教育」にしてしまうとは、さすがに官邸中心政策だ。専門的な議論がなされていないボロが既に見えている。これをやるには法改正が必要だ。
 民主党政権時代のこれまた「にわか公約」のひとつ、高校授業料無償化は、結果的には、金持ち優先施策になった。低所得家庭の授業料は既に自治体が援助していたからである。今度も、福祉は応能負担なので、保育料自己負担無償化の恩恵を受けるのは金持ちだ。また、幼稚園も自治体の補助が既に大きく、無償化しても、喜ぶのは自治体だけで、家庭の方では大した負担減にはならない。
 自民党の超人気者小泉進二郎議員は、こども保険(介護保険のアナロジー)の主張者のためか、安倍首相が教育無償化予算2兆円の中、3千億円を財界に依頼したことを怒っている。財源を始め、党内議論がないのを指摘しているのだ。しかし、党内議論ばかりか、各省議論もなく、官邸にいる前のめり元通産官僚が皆政策を作っているのだから、そういうことになるよ。通産省の歴史を辿れば、高度成長が終わってからは、思いつきのカタカナ政策ばかり打ち出して、内容の甘さで皆消えていったではないか。シルバーコロンビアだの何だのと。
 幼児教育の無償化だけで、以上のように問題だらけだ。全国に800近くもある4年制大学の無償化などしたら、レジャーランドと言われてきた大学が18歳入園の保育園になるだけの話だ。かつて、我々若いころの国立大学授業料は月千円。親の仕送りなしで暮らしている学生が多かった。しかし、世襲の国会議員で高い月謝の大学を出た連中が国立大学優遇を「是正」してしまった。欧州の大学で無償化が実現しているのは数少ない国立大学しかないからだ。レベルも高い。形だけ欧州の真似をしても、この国の現状では、効果が期待できないばかりか、財源が確保できない。
 少子化対策とは、終局、人口政策であり、もう隠す必要はない。だとすると、金の使い方によって人口が増加する層に重点を置くことだ。国全体としては、公教育だけで良質の教育が与えられるような体制を取ることが先決であり、低所得層に最大限の配慮をし、「カネがないから学校に行けない」国にしない。
 保育から教育に舵を切った少子化対策については、正しい選択である。方法論を詰めていくにあたって、文科省も、もう加計学園なんかどうでもいい、官邸から教育無償化の問題を取り返して、国家百年の計を立てよ。

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 第二の性を生きる [2014.11月〜]
 老人大陸の平和 [2014.7月〜]
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