元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2019/07/10]
トマトのGABA



 過日、江面浩筑波大教授、つくば機能植物イノベーション研究センター長のお話を聴く機会を得た。先生は主にトマトを対象に次世代遺伝資源の開発、その分子機構解明を通して人類の食料の質的量的拡大を追求する。また、先生は全国のみならず中国など海外でも啓蒙活動に大忙しである。
 
 遺伝子組み換えは厳しく規制する傾向にあるが、先生はこれとは厳密に異なる、ゲノム編集という技術を使う。前者は、遺伝子の数を増やすのに対し、後者は遺伝子の数は元のままである。したがって、ゲノム編集の規制のほうが緩い。

 いずれノーベル賞といわれる、アメリカで開発されたcrisper-cas9というゲノム編集技術によって、トマトの日持ち性、高糖性、機能性物質の蓄積などの画期的な改良が行われる。crisper-cas9は、自然界で大腸菌が果実に作用した方法を技術にしたものだ。
 
 先生の研究から、トマトにGABAと呼ばれるアミノ酪酸の一種が高蓄積される品種が作られた。GABAは血圧を下げる働きを持つ。これは、朗報である。最近、日本高血圧学会が、アメリカのデータを用いて高血圧の定義を変え、高血圧予備軍が増加する見込みだからである。

 しかし、降圧剤には、副作用も報告されている。そもそも高血圧は病気ではなく、心臓病などのリスク要因にすぎない。だとすれば、東洋では、昔から医食同源の考えがあるのに従って、食を通して体質改善できればそれに越したことはない。トマトはその有力候補になる。

 江戸時代、食糧増産のため、青木昆陽が普及させたサツマイモは、自然界で微生物が根のDNAに入り、ゲノム編集されて根が太くなったものだという。トマトは、原産はペルーで小粒だったが、スペイン植民地時代に欧州に運ばれ、今では数えきれない種類に改良されている。

 日本は、トマトを食べ始めて百年、トマト好き国民らしい。団塊世代の筆者が子供のころ食べた小ぶりの酸っぱいトマトは現在市場にはない。見目が美しいだけでなく、GABAのような機能を持ったトマトは身近なイノベーションである。江面先生の研究にさらに期待したい。

[2019/07/06]
児童虐待に有効な政策とは



 最近再び、児童が親の虐待によって死亡する事件が相次いでいる。児童相談所が虐待の存在を把握していながら、児童を死に追いやったケースは憤懣やるかたない思いである。
  
 児童虐待や少年犯罪は社会を騒がせ、制度改正がそのたびに行われるが、しばらく沈潜し、再び同様の事件が起きるという循環の「波」の中にある。なぜ根本解決が図られないのだろうか。

 福祉は、医療と同様、「予防」が難しい政策分野である。事件が起きるたびに、虐待の可能性のある家庭に介入する「アウトリーチ」事業が試されてきたが、そもそもアウトリーチは法制化が困難である。予防的に家庭に入り込むことが簡単には許されないからである。

 日本では、児童虐待は児童福祉法を中心に、行政の役割が大きい。欧米では司法介入が大きく、その違いは、行政は裁量範囲が広く、司法はより権力的に対応する。悪い言い方をすれば、行政の「介入しなくてよい」裁量行為は起こりやすい。従来行われてきた議論は、「日本も司法手続きを強化すべき」であり、実際にその方向に向かってはいる。

 しかし、手続き的な解決以上の問題がある。福祉では、虐待児の家族再統合を究極の目的とするが、家庭「信仰」は危ういと筆者は考える。虐待が発生する背景には、親の軽度な知的障害や精神障害、親自身の生育時トラウマなどが必然的に存在し、「あたりまえの家庭」に戻すという考え方自体が理想に走りすぎている。社会養護や新たな家庭の提供などを整備するほうが現実的である。

 以上は、現制度を前提にした議論であるが、これまでも少しづつ前進し、児童相談所への通告も年々増加し、体制の強化も図られてきた。しかし、根本的な解決には程遠い。だから、同じ事件が繰り返されることになる。より根本的な解決方法として、児童虐待を含む要保護児童政策を民間に委ねることも考えられよう。

 福祉は内務省時代からの警察行政である。しかし、1997年の介護保険法、2000年の社会福祉法は、福祉を警察行政の根幹である措置制度から民間市場に移行させた。その時点では、保育所はその流れになじむと考えられたが移行せず、まして要保護児童政策が民間に移行することは問題外であった。

 しかし、警察行政で行われている限り、虐待のような家庭の奥で行われているものに対応できない。要保護児童政策は基本的に都道府県管轄であり、広域で行う以上は需要が見落とされがちだ。また、第一線の児童福祉司をはじめ人材が頻繁に人事異動し、定員も大幅に増やすことはできない。民間に委託し、時間制約もなく、地域制限もなく、また人材の年齢制限もなく、機動的に対応できる体制を作ることは一考に値する。現に、イギリスではこの方法をとっている。

 また、日本の社会では、児童虐待、少年犯罪、あるいはセクハラのような社会問題に徹底的な議論が行われていないと筆者は思う。「そういう犯罪者は特殊な人であり、自分は関係ない」と思っている人が多い。「かわいそうだ」で、すべて終わってしまう。

 1990年代、筆者が当時の厚生省児童家庭局の課長をしていたころ、児童行政に参考になったのは、アメリカの映画だ。障碍者が人生の幸運をつかむ「フォレスト・ガンプ」、非行少年が性的虐待を受けたかつての看守に復讐する「スリーパーズ」など、ハンディを持った人々の生きる力を描いたものが多かった。日本の社会も、児童虐待をはじめとする社会問題に対し、「かわいそう」は止め、積極的な克服に向けての文化を養成していくべきだ。

[2019/06/20]
宇宙に夢を託せるか



 世俗を騒がせているのは、金融庁の報告書「老後には、年金以外に2千万円の蓄えが必要」である。多くの年金生活者は、年金だけで食べていくのは難しいことを知っている。さりとて、少子化で若い人に負担を強いるのも心苦しい。こんな時代に、宇宙に目を向け、宇宙科学とさらに宇宙ビジネスの発展に思いをはせる余裕はあるだろうか。

 しかし、国はあらゆる分野でしのぎを削っていかねばならない。おりしも、はやぶさ2が小惑星リュウグウにタッチダウンし、いよいよ岩石の採取を始めるというニュースが飛び込んできた。はやぶさ初号に続く日本の宇宙科学における快挙だ。重力のほとんどない小惑星の岩石は、太陽系誕生のなぞに迫る材料を与えてくれるという。
 
 同時に、この快挙は、日本のイオンエンジンや宇宙太陽光パネルなど高い技術を世界に示す機会にもなる。この事業を担うのがJAXA(宇宙航空研究開発機構)である。2003年に3機関が統合して発足したJAXAは、現在、国立研究開発法人になって、職員1500余人、予算は1500余億円のいわば日本の国策を遂行する機関だ。

 しかし、現在では、宇宙に関しては国策だけではなく、アストロスケール社など民間事業者が宇宙旅行ビジネスに参入し、民主導の宇宙ビジネスが有望になっている。JAXAは、ベンチャーとの連携や技術協力など新たな方向に踏み出している。まさにその話をJAXA新事業促進本部の杉田尚子課長にお聞きしたばかりだ。

 世界の宇宙産業の規模は404億ドル。その内、半分はアメリカ、アメリカの10分の1が日本である。EU、仏、独など欧州を合わせると日本はその5分の1である。中国は日本より多く、ロシアは少ない。インドなどの新興国も宇宙産業に乗り出していることが知られている。つまり、宇宙産業は国力を競う舞台でもある。

 JAXAはまさにナショナルフラッグを背負って、民間宇宙ビジネスに取り組んでいるが、アメリカに比べると2周遅れの感があると杉田課長は言う。それでも、昨年政府が公表した「宇宙産業ビジョン2030」は、安全保障確保、宇宙利用の拡大、宇宙科学の成果などがビジョンとして描かれ、日本の第4次産業革命に資するとしている。大いに期待したい。

 世俗の安寧福祉と科学を駆使した新時代への夢、その二つは両立してほしい。
 
 

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