元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2019/06/20]
宇宙に夢を託せるか



 世俗を騒がせているのは、金融庁の報告書「老後には、年金以外に2千万円の蓄えが必要」である。多くの年金生活者は、年金だけで食べていくのは難しいことを知っている。さりとて、少子化で若い人に負担を強いるのも心苦しい。こんな時代に、宇宙に目を向け、宇宙科学とさらに宇宙ビジネスの発展に思いをはせる余裕はあるだろうか。

 しかし、国はあらゆる分野でしのぎを削っていかねばならない。おりしも、はやぶさ2が小惑星リュウグウにタッチダウンし、いよいよ岩石の採取を始めるというニュースが飛び込んできた。はやぶさ初号に続く日本の宇宙科学における快挙だ。重力のほとんどない小惑星の岩石は、太陽系誕生のなぞに迫る材料を与えてくれるという。
 
 同時に、この快挙は、日本のイオンエンジンや宇宙太陽光パネルなど高い技術を世界に示す機会にもなる。この事業を担うのがJAXA(宇宙航空研究開発機構)である。2003年に3機関が統合して発足したJAXAは、現在、国立研究開発法人になって、職員1500余人、予算は1500余億円のいわば日本の国策を遂行する機関だ。

 しかし、現在では、宇宙に関しては国策だけではなく、アストロスケール社など民間事業者が宇宙旅行ビジネスに参入し、民主導の宇宙ビジネスが有望になっている。JAXAは、ベンチャーとの連携や技術協力など新たな方向に踏み出している。まさにその話をJAXA新事業促進本部の杉田尚子課長にお聞きしたばかりだ。

 世界の宇宙産業の規模は404億ドル。その内、半分はアメリカ、アメリカの10分の1が日本である。EU、仏、独など欧州を合わせると日本はその5分の1である。中国は日本より多く、ロシアは少ない。インドなどの新興国も宇宙産業に乗り出していることが知られている。つまり、宇宙産業は国力を競う舞台でもある。

 JAXAはまさにナショナルフラッグを背負って、民間宇宙ビジネスに取り組んでいるが、アメリカに比べると2周遅れの感があると杉田課長は言う。それでも、昨年政府が公表した「宇宙産業ビジョン2030」は、安全保障確保、宇宙利用の拡大、宇宙科学の成果などがビジョンとして描かれ、日本の第4次産業革命に資するとしている。大いに期待したい。

 世俗の安寧福祉と科学を駆使した新時代への夢、その二つは両立してほしい。
 
 

[2019/06/08]
多自然主義



 多自然主義の自然保護学者である岸由ニ慶大名誉教授の話を聴く機会を得た。先生は、手つかずの自然を理想とする「近自然主義」に対し、人間の活動とともに変化する生態系の現実に沿って進める「多自然主義」を唱える。
 
 岸先生は世界的な名著、ドーキンス著「利己的遺伝子」の翻訳者の一人であり、筆者は大いに興味を惹かれた。そして、筆者の長年の疑問は、自然保護主義が、原発反対、自衛隊反対とともにラディカルの政策パッケージに入ってているのはなぜかであり、答えが欲しかった。結論から言うと、岸先生は見事に答を示唆した。

 多自然主義は、人間の活動を進めることに反対せず、また、外来種をそれだけの理由で敵視するのではなく、それらと調和をとりながら新たな生態系を作っていくという考えである。先生は、この考えを以て、自然保護の現場と学問を往復しつつ、政府や自治体の都市計画に具体的に携わってきた。

 神奈川県の鶴見川流域では絶滅寸前のアブラハヤを流域内移動で蘇らせた。その時はラディカル団体から、アブラハヤを移動させるのは遺伝子攪乱だと反対された。科学的根拠はない。他方、政府や官僚には明らかな開発主義者がいて、自然保護に興味を持たないために仕事が進められないこともあった。左と右の対立の間隙を縫うような形で自然保護に勤しんだのである。これを聴いて、多自然保護は近自然保護(ラディカルの多くはここに属する)と異なり、開発主義に対抗するためではない、科学的根拠を重視する発想だと理解した。

 三浦半島の滝の川流域にある小網代では、耕作放棄地のササを刈って大規模な湿原地を回復させた。現場での仕事を続けるうちに、先生は流域思考にたどり着く。流域とは水のある生命圏を生きる人類の足元に広がる生態系だという。したがって、流域開発が自然に委ねる自然保護の方法そのものである。一旦は、国交省の理解も得た。

 しかし、現在は残念ながら、国交省は、流域開発ではなく、里山構想を政府の看板事業にしている。看板事業はある日突然変わるそうだ。確かに、里山も中山間地も、果てはソサエティ5も国民に示されるときは内部の審議が終わってからだから、いつも突然でしかも科学的説明が下手だ。里山など誤解だらけで、何が目的なのかも一般に知られていない。

 特に、筆者のような都会育ちは、「ウサギ追いしかの山」が日本人の故郷だと言われると違和感を持つくらいだから、理屈の分る自然保護政策でなければ納得しない。その意味では、科学的根拠も明確で、政府よりも説明がうまく、ラディカルの教条主義に与しない岸由ニ先生の話は、実に腑に落ちた。

[2019/05/28]
宇宙風化



 月面の黒い影は、昔から、ウサギが餅をついている姿だと伝えられてきた。外国でも何かの形になぞらえて語られてきたと言う。宇宙に影絵師がいて、時にはかぐや姫を降下させることもした。

 科学では、月の黒い影は、いわば日焼け(宇宙焼け)で色が変わった部分だと説明される。はやぶさ初号が小惑星イトカワにもこの宇宙焼け(厳密にいえば表面に近いところの物質の変化)があることを発見し、これは月と同様の宇宙風化によるものと説明され、宇宙風化は科学の世界で証明された。
 
 宇宙風化の第一人者である廣井孝弘・米ブラウン大学上級研究員は隕石の研究者であり、2006年にネイチャー誌にこのことを明らかにしたが、初めは、「宇宙風化は存在しない」という科学上の反対派に阻まれて論文の掲載も難しかったと言う。先生は、今回のはやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰るであろう物質の宇宙風化も予言していて、かつ、はやぶさのミッションである太陽系ができたころの不変の物質は宇宙風化の下にあって、持ち帰ることができ、宇宙誕生の理論に大いに貢献するはずだと言う。

 宇宙というと、アインシュタインやホーキングを思い浮かべ、物理の世界と思いがちだが、鉱物・岩石からのアプローチがあることを知った。門外漢には、「物」の存在から理論化されるほうが分かりやすい。ちなみに、アメリカに次いで隕石保有の多い日本だが、隕石はいわば大気圏で焼け焦げになった残骸であり、はやぶさ1・2が持ち帰る「生の岩石」とは異なるという。
 
 はやぶさプロジェクトの快挙で、夢は膨らむが、廣井先生は、日本の宇宙科学予算の少なさやポスドクの扱いの悪さなどを辛口で指摘し、日本の科学への貢献に障害が多いと主張する。それに、宇宙風化について論文掲載が難しかったばかりでなく、科学ジャーナリズムの理解も遅かったと指摘する。これは、2年前、筆者が出席した会議で中村修二先生(青色LEDでノーベル賞受賞)が日本の科学政策やジャーナリズムを批判したことと通じる。
 
 キリスト教など宗教ばかりでなく、ウサギが餅つくなどの迷信も科学研究の前に立ちはだかることが多いのは歴史が教える。非科学性を打ち破るのは、数年後にはやぶさ2が持ち帰る小惑星リュウグウの石だ。「ほらほら、これが宇宙風化。迷信は風化せざるを得まい」。

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