日々雑感
[2025/03/24]
政経法務セミナーご案内
党派信条を超えてのご参加を期待いたします。
4月21日(月)
衆議院第二会館第8会議室
12時45分〜15時45分
挨拶 大泉博子 (永田町談話会会長)
講演 平岡秀夫 (衆議院議員、弁護士、元法務大臣、
元財務官僚)
演題 「内外情勢」
講演 郷原信郎 (弁護士、元検事)
演題「法が招いた政治不信」
総評 山下靖典 (元朝日新聞)
参加費2千円(郷原信郎新刊「法が招いた政治不信」の代金相当)
主催 平岡秀夫事務所、永田町談話会
協力 21世紀経済フォーラム、一般社団法人汎アジア人
材育成センター
当日、11時半より衆議院第二会館入り口にて通行証をお渡し致します。参加ご希望の方は以下アドレスにご氏名等をお知らせください。なお、人数把握のためですので、当日キャンセルされてもかまいません。
ooizumi-110@indigo.plala.or.jp
[2025/03/12]
ミッシング人口
インド人のノーベル経済学賞受賞者であるアマルティア・セン教授は、インドの男女出生比率が極端に男が多い事実(男1000に対し女929 2021年)に対し、ミッシング・ウーマン(失われた女性)と呼んだ。
男系社会インドでは、中国と並んで、出生前診断で女と分かると堕胎してしまうために、女が少なく生まれ、生まれるはずだった女をミッシング・ウーマンと呼んだのだ。女は結婚のときに法外とも思われるダウリ(持参金)を必要とし、その慣習が厳然と残っているからである。
日本では、2024年の出生数がついに72万余まで下がった。100万を切ったのが2017年、80万を切ったのが22年、ついに25年には70万も切るのは確実とみられている。これは、社人研の予測よりも12年早い減少率である。若い人々が政治に失望し、将来不安に苛まれていることは疑いがない。
本来なら団塊ジュニアを含む氷河期世代が生むべき子供は生まれてこなかった。90年代人口問題研究所が予測していた第三次団塊世代、いわば団塊孫世代は生まれてこなかった。セン教授に倣えば、これは、日本のミッシング人口である。
団塊ジュニアは50歳を過ぎ、最後の氷河期世代も40歳を過ぎた今、彼らの子供が生まれる可能性は殆ど無い。彼らはバブル崩壊後のデフレ期を生き、グローバリゼーションの名の下に、不況と雇用の流動化によって切り捨てられた世代だ。まさにミッシング人口を創り出す土壌そのものだった。
グローバリゼーションはソ連崩壊後、アメリカ一極世界でアメリカが流行らせた政策だ。ITも金融も国境を越え、弱肉強食の世界が創られた。デフレから抜け出せない日本でグローバリゼーションの波に乗った日本の政治は、弱者を徹底的に痛めつける結果となった。最も痛めつけられた世代は氷河期世代だ。
だが、グローバリゼーションの先頭にいたアメリカがアメリカ第一主義をとり、追随する国々を追いやっている。日本も小泉政権から、否、橋本政権から、金融ビッグバン、雇用の流動化をやり、挙句の果ては防衛費2倍までアメリカに付き合ってきた。いま、アメリカに梯子を外されて政治はどう立ち向かうのか。
国会で集中的に議論されている手取り問題は、グローバリゼーションの積み残しである配偶者控除、第三号被保険者、さらに選択的夫婦別姓の問題を明らかにしたに過ぎない。高額療養費もこれから議論される年金改革法も、アンチグローバリゼーションの勢いが強くなり、考え方を改める機会が訪れたのだ。
ウクライナ危機一つとっても、アメリカは欧州と日本に対し、梯子を外した。もうアメリカ追随は許されない。日本は外交以上に、内政においてもアメリカ追随であったが、今、国益にあった政策を求められている。それにしては政治はお粗末だ。患者団体がクレームをつけることによって初めて高額療養費の方針を変えようとしている。同時に、野党も、少数与党に対し、部分的勝利を勝ち取る競争をしているだけだ。国民民主党を除けば甚だ論理性を欠く。
ミッシング人口はもう帰ってこない。ならば、氷河期世代の雇用に最大の力を注ぐべきではないか。その政府の在り様を見て、下の世代が国への信頼を取り戻し、子供を産む意思を持つことができるのではないか。
[2025/02/06]
てなもんや三度笠
1960年代のテレビ人気番組に、藤田まこと主演の「てなもんや三度笠」があった。江戸末期と思われる時代設定で、藤田まこと演じるあんかけの時次郎と旅の道連れチビの珍念が道中で巻き起こすドタバタ喜劇だ。
その珍念をニックネームに持つ山口敏夫元労働大臣のお話を聞く機会を得た。山口さんと言えば、新自由クラブを担いだり、渡辺美智雄を総理にしようと画策したり、果ては詐欺罪で収監されるなど「お騒がせ」な衆議院議員ではあったが、機をみて行動する筋金入りの政治家と言ってもよい。引退して久しいと思っていたところへ、2016年、都知事選に突如立候補したが、志叶わずだった。
山口氏は、1985年男女雇用機会均等法を成立させたときの労働大臣である。80年に女子差別撤廃条約に署名したものの女性雇用の不平等を是正できないまま条約を批准していなかった日本だったが、山口大臣の下で成就させた。山口氏は、女性労働官僚に「なぜ日本は、女性の雇用についてここまで放置してきたんでしょう」と問われたときに「それはあなたたちの問題でしょ」と答えたそうだ。
確かに条約の署名から5年、労働省の女性局長に赤松良子(故人)が就任するまで放置されたのは、日経連などとの激しい交渉を乗り切れるだけの能力に長けた赤松の登場を待っていた感がある。
山口氏が言わんとしたのは「人のせいにするな、自分でやれ」ということだ。まさに、山口氏は、進んで火の中に飛び込む性分で、そのためにお騒がせ議員となったのである。今、これだけの信念と行動力のある政治家はいるだろうか。珍念の名のごとく、小柄だがあふれる政治パワーを持つお人である。
政界ドタバタ劇に関与してこられた山口氏の今も変わらぬ政治の真理を語る姿に心惹かれない者はいない。山口氏いわく「自民は野球で例えれば、一軍のみならず代用の二軍まで揃えている。野党は一軍のメンバーすらも揃え切らない。そこが違いだ」。正しい。自民の一軍の資質も怪しいが、少数与党に追い込んでも連立政権を創れない野党は一軍の人数も足りないからだろう。長い間の職業意識の低迷がこの状態を招いている。
五里霧中で行く道すら定まらぬ今のカオス政治に、政界の知恵袋を活用すべき時だ、てなもんや。
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