元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2018/06/21]
広井教授の「夢人口」



 広井良典京大教授の近著「持続可能な医療」は、サイエンス、政策、ケア、コミュニティ及び社会保障の観点からの論理的な現状分析の後に、死生観としての医療が書かれている。この最後の部分に、もともと科学史・科学哲学を専門とする彼の本意が現れる。事実と論理を重ねた最後に、少し煮え切らないが「新理論」を掲げたのである。
 広井さんは、実は厚労省の後輩である。かつ、東大教養学部の後輩でもある。厚労省で出会った数々の人の中で、彼は、間違いなく突出した逸材である。官僚生活は10年で辞め、研究の道に入ったが、著書は多く賞にも恵まれている。彼の書くものは心躍る理論があり、説得力を持つ。チマチマとした社会保障論を嫌い、科学の歴史からみた現在の分析と認識を見事に与えてくれるのである。
 彼によれば、人類社会は何度か繁栄の極に達すると、定常状態になることが繰り返されてきた。たとえば紀元前5世紀ごろは定常状態になり、この時代に、仏教、儒教、旧約聖書、ギリシア哲学など今日まで続く世界の文化が生成された。現在の世界は、人口と、資本主義による経済成長が定常状態に入りつつあり、日本はその先陣を切っている。
 この定常状態の中で、かつてのように、新たな哲学のシャワーが降り注ぐだろう。その一つが、医療や生き方の根本となってきた「生産者中心の仕組み」を変えねばならないということだ。広井さんは、現実に直視してすべきことは、高齢者には医療以前の「居場所」の解決を、そして若い世代には富を使う社会の構築を急がねばならないと主張する。むべなるかな、である。
 高齢者と子供を合わせて従属人口が形成されるが、団塊世代が子供のころは圧倒的に子供が多かった。今、従属人口の構成は圧倒的に高齢者が多くなっている。広井さんは言う。子供も高齢者も、社会の生産者になりきらない「夢」の存在、つまり、夢うつつの状態に位置し、子供はやがて夢から覚めて現実社会の構成員となっていき、高齢者は死の世界にいざなわれる。
 広井さんは、従属人口を「夢人口」と名付けた。子供は未来を夢み、高齢者は、次第に夢と現実の境がなくなり赤子に戻って、夢でしか知らないあの世に去る。ワーオ、いい命名だ。筆者もそれに近いことを常々考えてきた。現役時代は現実に即した夢しか見なかったものを、現在は、夢と現実が全く違う世界になっている。だから、高齢者は夢うつつで生きているようなものだ。
 夢人口に属していることは実は幸せなのだ。子供は敗れるかもしれない大きな夢を将来に託す。高齢者は「脳が見た現実の夢」を離れ、新たな夢の世界に入る。高齢者にとっては、生産者のための急性医療ではなく、夢に入るまでのこの世の居場所、それは、雇用なのか別の形の社会参加なのか選択肢は多くあろうが、それを整えるほうが重要なのだ。欧州の地方都市は、街を歩くだけで、人と会い、座り込み、日がな一日静かな喜びに満ちている。そのような場をつくることの方が急務ではないのか。
 他方、生産者となるべき子供には、医療も教育も十二分に機会を与えねばなるまい。消費税を引き上げても、教育に使うとした安倍さんは正しい。だが、一方で、借金返しもしていかねばならない。なぜなら、ツケを払うのは今の子供たちなのだから。相続は猶予を与えずに税金化する、高額な年金の課税をする、老人医療の診療報酬減額など、選挙のためできなかったことを、やるべき時が来た。
 

[2018/06/11]
忙中閑



 明日の米朝会談が迫って、報道はこの件で大忙しだ。少し前までは、一連のセクハラ騒動で忙しかったが、まさにのど元は過ぎた。したがって、昨日の新潟県の知事選は、大きなニュースに押されて全国版にはならなかった。
 前知事の買春問題による辞任は財務次官のセクハラ問題の陰で小さい記事になったが、今回も、今後の政権を占うはずの選挙が米朝会談の陰に隠れた。この結果は、安倍政権を支持するのではなく、森友・加計に幕引きをするのでもなく、残念ながら与党に政治を任せるしかあるまいとの有権者の諦観による判断だ。
 ここ数年、与野党ともにモラル低下の記事がラッシュの如く報道された。新潟県前知事は弁護士でありながら買春に手を染め辞職したのだが、秘書への暴言報道で衆議院選を落選したり、衆議院選に勝って不倫を堂々続行したりの女性議員もニュースを沸かせた。有権者は「立派な経歴は必ずしも立派なモラルを意味しない」と学んだ。同時に、これらの方々は政治生命を失った。
 こういう俗悪なモラル問題ではなく、自らの言動に足をとられ、難しい局面に立つ政治家もいる。三人の女性政治家が頭に浮かぶ。小池百合子、田中真紀子、野田聖子である。いずれも女性初の総理と言われたことがあり、女性の中では現在この三人に及ぶ実力派はいないだろう。
 小池氏は言うまでもなく、「排除の論理」を振りかざして、ほぼ次期総理の可能性を失った。コメント総出なので、筆者が付け加えることはない。田中氏は、外務省の組織運営で問題を残したが、筆者は現職時代に、外務委員会での田中氏の委員長としての裁きを観た。実は、優れた知識と判断力を持つ方だと知った。考えは正しいのだが、組織的行動が伴わないだけだ。引退してほしくない。
 野田氏は、郵政選挙で、無所属でも勝ち上がるほどの選挙基盤を持っている。その強さもあって、安倍総理に独り挑む。しかし、その出産と障碍児にまつわる話は世間受けしない。筆者は数年前のこの欄で、「お母さんになりたい」という気持ちは称賛に値すると、大方の議論に反論をぶつけた。
 「女は弱し、されど母は強し」。守るものを持った時に女は本当に勝負に出るのだ。昨日の新幹線殺傷事件では、男性が女性を守ろうとして自らが殺されてしまったが、男は本来、集団を守るために生まれついている。女が男に伍していくためには、守るべきものを作る必要がある。むろん、それは子供だけだと言うつもりはないが。守るべきものを持った野田氏は活躍を続けるだろう。
 さて。報道は米朝会談で精いっぱいだが、忙中閑で、より日常的な問題を少し考えても悪くは無かろう。

[2018/05/23]
夢のケイ素



 過日、産総研触媒化学融合研究センターの佐藤一彦センター長によるレクチュアを拝聴した。化学のイノーベーションに夢が持てる陶然としたお話だ。
 ケイ素はガラスの材料だが、この地球上で、酸素に次いで多い元素である。つまり、無尽蔵の資源ということだ。ケイ素を使い、かつ触媒を発明して製品にまで結びつける研究に先生は勤しむ。先生が中核となり、東大、京大、理研等と人材をクロスアポイントし、企業とも組んで、これまでに多くの製品化に成功している。
 このとき、触媒開発には、AIが役立っている。最先端技術である。先生のお話では、ものづくりは、触媒開発とプロセス開発とAIを掛け合わせた形で行われている。余談だが、経験値の多い触媒開発は、AIによって研究者の職を奪う可能性もあるのではないかと筆者は心配するが。しかし、産官学で新たな境地が開けているのは喜ばしいことである。
 二酸化ケイ素を使った研究プロジェクトからは、燃えるごみからシリカ(シリコン)を作り出すなど、経済効果・社会効果の見込まれる結果を出している。現在、化学の産物としては、石油製品が多く、ケイ素の産業化は石油の194分の1と少ないが、有限の石油に比べ、無限のケイ素が将来、取って代る可能性はあるとのことだ。
 一例をとれば、我々の服は、現在石油から作られたものが多いが、将来、ケイ素製品になる可能性がある。資源小国の日本にとって朗報である。そして、佐藤先生は、その先まで夢を見ている。「空気から肉をつくる」。身の回りに無尽蔵にある材料で食料・生活用品を作っていけば、2050年に地球の人口が96億人になる予測を恐れる必要はなくなる。少なくも、1974年にローマクラブが警告した地球上の食糧難は、地域偏在の問題は別として、訪れなかったという歴史がある。楽観視してよいかもしれない。
 佐藤先生のお話に、筆者はまさに「陶然と」したわけである。

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