元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2021/11/19]
コロナ後の幸せとは



 岸田内閣の経済政策が閣議決定された。55兆7千億円は史上最大の規模である。子供への給付金、コロナで打撃を受けた中小企業への給付金が大きい。岸田首相の公約でもあり、経済回復への強い思いを数字に表したわけだが、マーケット(株式市場)の受けも評論家の受けも必ずしも良くはない。
 この時期、アメリカでも、バイデン大統領が1兆ドル(約113億円)の経済政策に署名した。第2弾はこれ以上の規模だが議会で承認されるかどうかはわからない。1兆ドルの中身は、高速道路の修繕などインフラ整備である。インフラ整備は雇用を生み、経済を回す。まさにニューディール政策を思い起こさせるが、ここが現金給付中心の日本との違いだ。
 総選挙は、岸田首相の「分配」へのかすかな期待と代替する能力が読めない野党の存在がこの国のコロナ後の方向を決めた。しかし、政治への不安、将来への不安、社会への不安は燻っている。
 金銭給付の経済効果は一定程度にとどまる。しかも、人々の様々の不安が貯蓄志向に向かい、GDPの半分を占める消費への刺激は小さいというのが大方の見方である。不安を抱えた人はお金を使わない、使えない。幸せでなければ消費しない、結婚しない、家庭を作らない。
 国として一人一人の幸せを積み上げ、社会としての幸せは何かを図らねば、財政規模の大きさで政策を作っても空振りに終わるかもしれない。
 筆者は、内田由紀子京大教授の幸福論を拝聴した。幸福という言葉には感情が入っているので、幸福を科学する場合にはウェルビーイングを使うべきだそうだが、ここでは幸福にしておく。個人の幸せ感と社会の在り方には相互作用があり、幸福文化というものができる。この幸福文化はアメリカと日本で異なる。
 理想に従い努力した結果手に入れたのが幸福であるというアメリカ型の獲得的幸福観。周りの人を配慮し、周囲と同じくらいなのが幸福であるという日本型の協調的幸福観。
 人は自分の状態は認識し、他人の状態も観察しているが、自分が社会にどう見られ影響を与えているかはわからない。しかし、多様性を認め、開放性を維持すれば、個人の主観的幸福とともに地域や社会への働きかけに向かう。これが内田教授のプロジェクト研究の成果である。弁を弄さずとも、この結論には納得がいく。
 コロナの状況下では、イベントや食事会などの集まりが極端に減らされ、人々が地域や社会に働きかける機会を失った。幸福は常に個人と地域とのバランスによって達成されるのであり、長期にわたる閉塞状況は人々を大きな不安に追いやったのである。内田教授によれば、不安に対する相談件数がコロナによって増えたそうだ。
 経済政策は日本回復の手段であるが、人々の幸せ感が伴わねばならない。単なる金銭給付でよいか。もらう人ともらわない人を分断し、社会全体への働きかけにはならない、つまり経済的乗数効果も低い。防災や上下水のインフラ整備で雇用を増やし、不安をなくすことも必要だ。イベントや人々の集まりに規制をかけず、コロナの飲み薬に大きな投資をして、コロナをインフルエンザ並みの扱いにいち早く移行すべきだ。
 日本人はアメリカ人と異なり、勝ち取る幸せよりも人並みの幸せを求める協調型人間集団だが、ならばこそ、人々が集う雇用やイベントに予算の配分を大きくすべきではないか。

[2021/11/05]
ダークマター・ダークエネルギーの世界



 著名な素粒子物理学者村山斉先生のご講義を聞く機会を得た。先生は、カリフォルニア大バークレー校教授であり、東京大学特別教授でもある新進気鋭のスター学者だ。
 近年、宇宙は、未知の物質ダークマター(暗黒物質)から成り立っていることが定説化している。この物質がないと重力が無くガスが集まらないから、銀河系も星々もできないことになる。したがって、ダークマターは我々の「生みの母」なのであるが、今のところ正体は分っていない。原子ではなく、ブラックホールでもなく、ニュートリノでもない。
 2003年、この物質は宇宙の初めに造られた重い素粒子であろうと、スイスにある地下百メートル、山手線全周規模の加速器を使って造ってみようとの試みが始まった。ダークマターは活動力の弱い「弱虫」なのか、強い「強虫」なのか、村山先生は後者の理論家だ。
 アインシュタインの理論によって、宇宙は膨張しその速度は速まっている。その結果、宇宙は、原子5%、ダークマター27%、ダークエネルギー68%の構成から、ダークエネルギーが8倍に移行するそうである。それが宇宙の未来だ。
 う〜ん、理解を超える。宇宙の研究など思いもつかぬ人生を送ってきた筆者は、研究の道具である数学と実験物理学について、先生に質問してみた。物理は閃き、数学は立証の立場にあると思うが、先生によれば、人間が作った言語である数学は、宇宙物理とともに変化していくそうだ。確かに、数学の立証によって、ニュートンの力学は全能ではなくなり、アインシュタインの理論ですら、今や量子力学が反映されていないとして全能ではなくなりつつある。
 もう一方の研究道具である実験物理学に欠かせないのが、加速器であり、実験でビッグバンの状況を作り出すことができる。今日本にあるのは、高エネ研にある長さ3kmの加速器が最大である。世界では、スイスに、前述の巨大な加速器がある。
 筆者が衆議院議員時代に、東日本大震災からの復興のため、岩手県にILC(国際リニアコライダー)と称する加速器の招致に関わったが、不発に終わった。これは、前述のスイスにある加速器を超える世界最大のものである。村山先生はこの招致にも関わっておられ、米国が協力を申し出ているのに日本政府の動きがないと言う。やはり政治が滞っているのだ、この国は。
 今では、ILCの招致が成功すれば、世界の物理学者が何千人と集まる拠点が日本に出来、日本の科学ルネッサンスにもなろう。村山先生によれば、中東では、SESAMEと言う名の宇宙研究所が、政治では反目しあうイスラエルとアラブ諸国などの共同で創設された。まさに科学は世界を連帯させる。
 もう一つ村山先生が言われたのは、科学と技術だけではいけない、研究の世界には、人文科学やリベラルアーツも必要だとのこと。宇宙の話は、まるで映画を見るような興奮と感動を覚えるが、夢を与え、閃きをもたらすには、リベラルアーツの役割は大であろう。それにしても、日本を動かすには、政治家の「洗脳」から始めなければならない。選挙は終った。学問をせよ。

[2021/11/03]
もう一つの環境問題



 COP26が英グラスゴーで開催された。総選挙直後だが早速岸田首相は駆け付けた。COP26の2050年カーボンニュートラル目標が達成されねば、温暖化の災禍が地球を襲うと叫ばれている。
 岸田首相は、彼らしく、できないことは言わず、淡々と開発途上国の援助を含め予算まで言及した。しかし、スウェーデンの環境活動家グレタさんには生ぬるいと映ったであろう。しかも、首相は日本語で演説をした。せっかくの首脳外交ならば、思いの伝わる英語ですべきだった。
 地球温暖化と気候変動を否定する政治家は今や立つ瀬がない。科学者の総意として世界連帯で取り組むことが当然になった。それが証拠に、トランプ前大統領が離脱したパリ協定にバイデン大統領は戻ってきたのである。
 カーボンニュートラル目標は、先進国と開発途上国では相違がある。これから発展しようという国に、CO2削減目標はきつい。現にインドは70年を目標に、中国は60年を目標にカーボンニュートラルを掲げ、足並みをそろえる気はない。気候変動の政策目標は株価の予測みたいに、希望的観測にすぎないかもしれない。
 しかし、具体的に取り組める、もう一つの大きな環境問題がある。環境化学物質だ。一時期、環境ホルモンは話題をさらったこともあるが、現在は気候変動の陰で「静かなテーマ」になっている。
 筆者は、星信彦神戸大大学院教授のお話を聴く機会を得た。星教授は、もともと産婦人科医であったが、動物生態学に研究分野を広げ、環境化学物質による中枢神経への影響と生殖障害を研究されている。
 農薬に含まれるネオニコチノイドが、自閉症、パーキンソン氏病、統合失調症などの中枢神経系疾患の原因になっていることをデータ化し、論文公表している。先生が切歯扼腕しているのは、ヨーロッパでは、ネオニコチノイドを全面禁止している国が多く、ポストハーベストの化学物質残留基準が日本に比べ桁外れに厳しいにもかかわらず、日本は「農薬垂れ流し」の状況にあることだ。
 主たる農薬7種のうち6種は日本が開発したそうだが、政府は業界を守るために基準改正に逡巡するのではないかとの憶測もある。産婦人科医である星先生は、気候変動以上に、将来の世代への影響を憂慮する。日本人男性の精子が減っていることも、動物実験では残留農薬の物質が働いているという確かな論文があるのだから、警告を出す時期にある。
 菅前首相に始まった不妊治療の保険化政策は、不妊の結果に働きかけるものであり、不妊の予防に無頓着である。星先生の研究分野エピジェネティクスは、DNA変化を伴わずに環境によって遺伝する遺伝学分野である。エピジェネティックスの研究では、環境化学物質の感受性は男性に強く、女性にはマイルドであることが動物実験で判明している。つまり、不妊治療には、特に男性の環境化学物質被曝を避ける方法を検討しなければならない。
 星先生は、農薬を禁止するのは現実的ではないから、その残留基準引き上げをせめてヨーロッパ並みにすべきと主張される。筆者には是と思われる結論だが、日本の政治家に、コロナで失敗したのだから、もっと科学者に、それも御用学者ばかりではなく、新進気鋭の科学者に幅広く耳を傾けて政治に取り組んでほしい。
 

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