元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2023/12/01]
中学生が危ない!



 伊藤美奈子奈良女子大教授のお話を聴く機会を得た。先生は臨床心理学の専門で、スクールカウンセラーとして現場も擁している。子供の自殺予防について熱っぽく語った。
 キーワードは、中学生が危ない時期であると筆者は捉えた。いわゆる思春期であり、第二次性徴の訪れにより身体の変化が現れるとともに、自己意識が高まりアイデンティティを模索する時期である。中学生は、調査の数値上、小学生と比較して自己肯定感が低下し、小学生・高校生に比べ、最も「死を恐れぬ」感覚を持つ。
 性衝動を含むとんでもない行動に走る可能性があり、親や大人の上からの小言・助言を拒否する傾向にあり、その不安定状態が心身ともに大人になるまで続く。中学生がその出発点であり、かつ最も不安定であるから、衝動的な死の選択を抑止するカウンセリング、また制度的な支えが必要である。
 子供たちは、デジタルネイティブであるが、相談相手としては、ネットでの相談窓口よりも友達を筆頭に「生身の人間」を選ぶ。そもそも相談しないとの選択も多い。死の選択や自傷行為を抑制するには、周囲の人間が子供たちの心を察し、対処してやらねばならないのである。
 大人はそれぞれが中学時代を思い出し、「何であんなことをやったのだろう。何で親に反抗したのだろう」と振り返るにも拘わらず、いつまでも子供を上からの立場で観て、抑圧者になってしまうことが多い。先ずはそれを反省すべきだ。
 子供の自殺は増えているが、そこまで極端な選択をしないまでも、将来、折角の就活で得た職業も長続きせず、引きこもりが長引く、結婚願望がない等現代の若者が抱える問題の「芽」が中学生の時期に発生するのである。大人は真剣に中学生に向き合わねばならないはずだ。
 伊藤先生は子供の自殺予防の立場から「死を正しく畏れる」ことを教えなければならないと主張する。かつてに比べ身近に死を体験する子供が減ったことも要因であるが、死を安易に美化することを戒めねばならない。
 筆者は、子供の発達全般に関しては、「生は、未来は、正しく楽しむ」ことを教えねばならないと考える。経済成長しない日本、格差広がる社会で閉塞感に捕らわれている中学生を始め子供たちに「生を正しく楽しむ」ことを教えられるか。
 それは、社会の責任であり、政治の中心の課題だろう。

[2023/11/01]
身近に子供の姿を



 郵便局人質事件は超高齢者の犯罪であった。彼自身は世間に怨嗟を持つ異常な人間かもしれないが、その背後には多くの孤独な老人が存在する。もし孤独で少ない年金だけで暮らす老人に日常的な役割が与えられたら、社会の安定に寄与するかもしれない。その地域資源はある。
 異次元の少子化政策は「失敗」の意見が趨勢だが、バラマキのための予算は安易に確保されるのではないことを考え、予算が少なくても有効な政策はある。それが高齢者を始め地域を巻き込む子育て支援政策であり、老人に役割を持たせる内容にすることができる。
 橋本真紀関西学院大教授によると、2012年立法の子供・子育て支援法に位置づけられた子供の世界は、幼児教育、保育、地域子育て支援の三分野である。これに対応する幼稚園と保育所は制度的に成熟化しているが、地域子育て支援の仕組みは、始まりは90年代だが、現在のように親子が気軽に利用できる形になったのは2002年頃からである。
 現在、児童のいない世帯は8割近く(2019)であり、子育て家庭の72.3%は他所から移転してきたため地域のマイノリティであり、孤立無援の存在である場合が多い。したがって、幼稚園や保育所に通う前、また育児休業中などでは、自宅とスーパーと図書館の三角形の間を行き来するのがせいぜいである。地域子育て支援センターは自治体が運営し、子供の遊びの場、親同士のコミュニケーションの場を提供し、行動を四角形に広げてくれる。全国で3,477か所ある(2021)。単純に市町村数で割ると、一市町村に2か所である。
 橋本教授は「地域子育て支援センターはインフォーマルなつながりや場というものを増やす役割」を果たす優れた事業と評価している。かつての日本社会では、インフォーマルなつながりや「場」は地域の中で自然に存在していたのだが、子供の数が減り、地域の関係が希薄になり、かつ郷土ではなく見知らぬ都会に出て生活する家庭が多くなったことから、インフォーマルや場も政策として提供しなければなくなったのだと言えよう。
 このインフォーマルの場に、付近の高齢者などが参加できる仕組みを加えるとよい。結婚しない息子のせいで孫に恵まれないおばあちゃんや暇をもてあそぶおじいちゃんがボランティアとして参加すれば、生活に心の和む時間をもたらすであろう。子供の存在は身近にいると心理的に幸福感をもたらすものであることは否定できない。
 高齢者参加の場と共に、地域子育て支援センターの役割は、子供の人格形成に複線化した効果を持つところにある。戦後の教育は、普通高校と、専門教育には短い大学教育の単線的な体系が出来上がり、就学前については、なぜか幼保一元化の叫びによって、圧倒的に保育所の拡大が行われ、ここも単線的な体系になってきた。皆が皆、同じ養育過程で「画一化した日本人をつくる」のでよいのか。
 教育体系の方では、早くからの職業教育や大学の概念教育の改正など検討すべき問題点は挙げられているが、幼少時の過ごし方についても、より多くの地域資源を使って子供の経験の数を増やしてやることが必要だろう。その点で、地域子育て支援センターは幼児期の複線化を図る一つの手段となる。
 地域、高齢者、子育ての拠点である地域子育て支援センターは、旧来の地域を失った日本の新たな地域づくりなのである。

[2023/10/08]
少子化政策の「死」



今、ジャニーズ事務所の次に「イジメ」られているのは岸田首相だ。増税クソメガネは、一国の首相に対してはひどいあだ名だ。しかしながら、ジャニーズも岸田首相も自業自得であるところが共通点だ。
 岸田首相は聞き上手を自慢していたが、確かに、支持率をよく「聞いて」、対応策をあれこれと打ち出す。ところが、対応策は焦点ボケで、国民に受けないどころか怒らせてしまう。異次元の少子化政策もその一つだ。マスコミやネットでの評価は低迷し、異次元どころか効果の無かった過去の政策の量的拡大を謳い、財源を示さなかったことで失策扱いになった。
 岸田首相が公言したように「少子化政策は今度が最後のチャンス」だったが、こんなものしか出てこないようではまさに最後の少子化政策となり、この政策は今回をもって「死んだ」のである。二度と少子化政策は生き返らない。
 少子化が意味するところは人口政策の代替語であり、単なる児童政策ではない。したがって、これからは、児童政策は歩みを止めてはならぬが、有効な人口政策を別に策定する必要がある。
 人口政策の一つは移民の受け入れ体制の充実であろう。移民受け入れの客観的条件の明確化と日本語及び日本文化教育の整備が必要だ。移民は必ずしも高い出生率をもたらすとは限らないが、家族帯同を許し有益な労働力として丁重に扱う政策が必要だ。先ずは、現代版奴隷制度としか言いようのない技能実習制度の改正から始めるべきである。
 そして、一定数の移民受け入れにより、日本のガラパゴス化脱却を図らねばならない。少子化で自分の子供をプチブルにするための受験教育が中心となった教育制度を、多様な子供たちの存在を加えることにより、ダイナミックな人間を育てる制度に変えていくのだ。
 日本はインプットのゲートを開き、優れた人材のアウトプットを増大させねばならない。インバウンドのゲートは開いたが、日本人自身よりも外国人の方が観光地に集まる国は病的ではないのか。自分の国を楽しまず、小さく生きることだけに汲々とした国になってしまった。ノーベル賞だって取れない国になってしまった。
 福祉に偏った少子化政策の死の次には、移民政策と教育制度という大きな仕事が待っている。日本の子供たちが幼少時から多様な経験を積みながら、将来の夢が語れる人材に育ってほしい。
 下手な経済政策からメガネをずらし、移民と教育にダイナミズムをもたらすことができれば、増税メガネは希望メガネに代わるかもしれない。
 

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