元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2025/05/29]
先端科学は哲学を求める



 過日、兵庫県にある高度光科学研究センターを訪れた。ここには、スプリング8及びSACLAと呼ばれる高性能の加速器システムがあって、放射光計測による先端科学の研究が行われている。スプリング8は世界四大放射光施設の一つとして数えられ(他は、アメリカ、ドイツ、欧州11か国共有)、放射光でナノレベルの世界が可視化され、多くの先端研究に寄与している。
 原子・分子の構造が見え、その動きがわかるという手段が確立し、旧来の科学では望んでも果たせなかった様々の研究成果が得られている。例えば、光合成の構造なども分かったし、ハヤブサが持ち帰った宇宙の石から宇宙創造時の岩石成分まで分かるようになった。
 ちょうど130年前に科学者レントゲンがX線を発見し、骨を透かして見ることができるようになってからの格段の進歩だ。目に見えない高度の]線を物質に当てることにより、生物も宇宙もより明確に解明されていく。電子顕微鏡では無理だったナノの世界が開けていく。
 人間はガリバーで、大きくなったり小さくなったりする。つまり、宇宙のような巨大なものも、目に見えない極小のものも、手にすることができたのだ。古代の土器や人骨に光を当てれば、伝統の「嘘」がたちまち明らかになる。伝統とは実証されない人間の作り話だったことが次々に解明されるだろう。
 論理を飛躍させれば、我々の世界は、伝統を守る保守ではなく、イデオロギー上の保守かリベラルかで勝負しなければならない。人々の幸せは、自由が決めるのか平等が決めるのか、市場が決めるのか理念が決めるのかを選ばねばならない。伝統という言葉のインチキは通らない。
 先端科学が教えるところは、究極、人間は新たに哲学を確立せよということだ。科学者に大きな影響を与えたプラトンの真善美は時代ごとに変遷するかもしれない、普遍性を持つのは難しいかもしれない。民主主義も資本主義もグローバリゼーションも行き詰まっている。今の時代の(決して普遍的ではない)新たな価値を作り上げねばならない。
 先端科学が新しい価値に向かう我々の背中を押しているのだ。それにしても、なんと貧しい政治状況か。哲学は不在で、先送りと前例踏襲ばかりだ。

[2025/04/25]
トランプ大統領の焚書坑儒



 驚いた。筆者は、長らく、ウクライナ戦争の火付け役であって行き過ぎた多様性政策推進のバイデン政権に代わるトランプ政権に期待していた。それが関税政策の右顧左眄に次いで、反ユダヤ主義とレッテルを張ったハーバードなどトップ大学、かねてより民間の方が安上がりだと批判したNASA(アメリカ航空宇宙局)、コロナ対応をめぐって批判的だったNIH(アメリカ公立衛生研究所)とCDC(アメリカ疾病予防センター)の予算を大幅に減らす方針を出した。こと、ここに至っては、トランプ支持を取り下げねばなるまい。
 アメリカの製造業を奪った世界中の国々に関税をかけるに始まり、憎しみを以て学問と研究の機関を潰す動きである。既にイーロン・マスクが長官を務めるDOGE(政府効率化省)での大リストラが始まっているが、学問と研究の場を対象とするのは、これとは異なる。歴史的に、焚書坑儒と呼ばれるものだ。既に研究者の7割が国外に出ることを予定していると言う。
 古くは、ナチスを逃れてアメリカに来た学者が、ドイツで創りかけていた原子爆弾を先に創った。最近では、ブッシュ・ジュニア政権の下で、大量破壊兵器があるとの嘘の喧伝でイラク戦争を始めたことに反対し、アメリカの最高峰の学者がシンガポール国立大学などに移った。若い学生でも、アメリカの大学ではなく、オーストラリアの大学などに勉学の場を求め、アメリカを離れた。ブッシュのキリスト教原理主義による受精卵研究ができないことによっても、学者は海外の研究機関に移った。
 アメリカの研究者は、オファーによって、しばしば研究機関を変えるので、動きやすい実情もあるが、それにしても、このままでは、世界を牽引してきたアメリカの学問が一挙に衰退するであろう。オバマ政権によってアメリカに復帰した研究者たちは、再び国外へ出ていくだろう。
 日本の焚書坑儒は、菅義偉首相の日本学術会議の任命拒否事件が例である。アメリカに比べれば小さい話であるが、菅元首相にしても、トランプ、ブッシュにしても、いずれも学問を重視しないタイプの政治家である。はっきり言えば「勉強嫌い」なのである。トランプはペンシルベニア大学ウォートンスクール、ブッシュはハーバードMBAだが、少しも知性と教養を感じさせない。トランプは学部教育で終わっている。ビジネスに志したことは良いことかもしれないが、少なくも、一国のリーダーとなれば、学問を大切にするのは当然なのではないか。
 かつて吉田茂首相が南原繁東大総長を曲学阿世の徒と呼び、全面講和論を退けたが、その結果、80年経った今も、日本はアメリカの「属国」であり続けている。吉田の場合は、日本の独立を急いだのだから、政治の要請があったと言えるが、トランプは単なる憎しみが彼を突き動かしている。
 しかし、今のアメリカで起きていることは、2009年に日本の民主党が政権交代を果たした状況を思い出してならない。公約した、こども手当も、後期高齢者制度の改正も、高校無償化も、ガソリン税暫定税率の廃止も、高速道路料金の廃止も、何も実現しなかった。それどころか、消費税を上げないと公約していたのに、自ら消費税を上げる政策だけを実現した。
 選挙の顔ばかりを大臣ポストにつけ、適材適所を怠り、公約の一つ事業仕分けは、ろくな職業経験もない連中が「この事業にはコピー代の倹約をさせる」などの結果を豪語し、恥ずかしい情景が今も思い出される。結局事業仕分けで公約の18兆円の「無駄」を見つけることはできず、したがって、公約の政策はできないと言う理由をつくった。その上、東日本大震災が襲って、予算もままならぬことになった。
 トランプは一期大統領を務めたとはいえ、今もなおビジネスマンであり続け、取引と愛憎で国家の経営に当たるならば、筆者が経験したかつての民主党と同じ結果を生むだろう。筆者は、民主党の代議士として、選挙区で罵声を浴びるようになった日々のことを思い出す。
 少なくも、焚書坑儒だけはすぐさま取り下げてほしい。アメリカが落ち目とはいえ、イノベーションだけはアメリカが先頭を走り続けているのだ。世界の進歩を止める気か、トランプ大統領。

[2025/03/24]
政経法務セミナーご案内



党派信条を超えてのご参加を期待いたします。

4月21日(月)
衆議院第二会館第8会議室
12時45分〜15時45分

挨拶 大泉博子 (永田町談話会会長)
講演 平岡秀夫 (衆議院議員、弁護士、元法務大臣、 
         元財務官僚)
         演題 「内外情勢」
講演 郷原信郎 (弁護士、元検事)
         演題「法が招いた政治不信」  
総評 山下靖典 (元朝日新聞)

参加費2千円(郷原信郎新刊「法が招いた政治不信」の代金相当)

主催 平岡秀夫事務所、永田町談話会
協力 21世紀経済フォーラム、一般社団法人汎アジア人  
   材育成センター

当日、11時半より衆議院第二会館入り口にて通行証をお渡し致します。参加ご希望の方は以下アドレスにご氏名等をお知らせください。なお、人数把握のためですので、当日キャンセルされてもかまいません。
ooizumi-110@indigo.plala.or.jp




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