元衆議院議員(茨城県第6区)[無所属]大泉ひろ子オフィシャルサイト -大泉ひろこの徒然草(つれづれぐさ)-
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日々雑感
[2025/04/25]
トランプ大統領の焚書坑儒



 驚いた。筆者は、長らく、ウクライナ戦争の火付け役であって行き過ぎた多様性政策推進のバイデン政権に代わるトランプ政権に期待していた。それが関税政策の右顧左眄に次いで、反ユダヤ主義とレッテルを張ったハーバードなどトップ大学、かねてより民間の方が安上がりだと批判したNASA(アメリカ航空宇宙局)、コロナ対応をめぐって批判的だったNIH(アメリカ公立衛生研究所)とCDC(アメリカ疾病予防センター)の予算を大幅に減らす方針を出した。こと、ここに至っては、トランプ支持を取り下げねばなるまい。
 アメリカの製造業を奪った世界中の国々に関税をかけるに始まり、憎しみを以て学問と研究の機関を潰す動きである。既にイーロン・マスクが長官を務めるDOGE(政府効率化省)での大リストラが始まっているが、学問と研究の場を対象とするのは、これとは異なる。歴史的に、焚書坑儒と呼ばれるものだ。既に研究者の7割が国外に出ることを予定していると言う。
 古くは、ナチスを逃れてアメリカに来た学者が、ドイツで創りかけていた原子爆弾を先に創った。最近では、ブッシュ・ジュニア政権の下で、大量破壊兵器があるとの嘘の喧伝でイラク戦争を始めたことに反対し、アメリカの最高峰の学者がシンガポール国立大学などに移った。若い学生でも、アメリカの大学ではなく、オーストラリアの大学などに勉学の場を求め、アメリカを離れた。ブッシュのキリスト教原理主義による受精卵研究ができないことによっても、学者は海外の研究機関に移った。
 アメリカの研究者は、オファーによって、しばしば研究機関を変えるので、動きやすい実情もあるが、それにしても、このままでは、世界を牽引してきたアメリカの学問が一挙に衰退するであろう。オバマ政権によってアメリカに復帰した研究者たちは、再び国外へ出ていくだろう。
 日本の焚書坑儒は、菅義偉首相の日本学術会議の任命拒否事件が例である。アメリカに比べれば小さい話であるが、菅元首相にしても、トランプ、ブッシュにしても、いずれも学問を重視しないタイプの政治家である。はっきり言えば「勉強嫌い」なのである。トランプはペンシルベニア大学ウォートンスクール、ブッシュはハーバードMBAだが、少しも知性と教養を感じさせない。トランプは学部教育で終わっている。ビジネスに志したことは良いことかもしれないが、少なくも、一国のリーダーとなれば、学問を大切にするのは当然なのではないか。
 かつて吉田茂首相が南原繁東大総長を曲学阿世の徒と呼び、全面講和論を退けたが、その結果、80年経った今も、日本はアメリカの「属国」であり続けている。吉田の場合は、日本の独立を急いだのだから、政治の要請があったと言えるが、トランプは単なる憎しみが彼を突き動かしている。
 しかし、今のアメリカで起きていることは、2009年に日本の民主党が政権交代を果たした状況を思い出してならない。公約した、こども手当も、後期高齢者制度の改正も、高校無償化も、ガソリン税暫定税率の廃止も、高速道路料金の廃止も、何も実現しなかった。それどころか、消費税を上げないと公約していたのに、自ら消費税を上げる政策だけを実現した。
 選挙の顔ばかりを大臣ポストにつけ、適材適所を怠り、公約の一つ事業仕分けは、ろくな職業経験もない連中が「この事業にはコピー代の倹約をさせる」などの結果を豪語し、恥ずかしい情景が今も思い出される。結局事業仕分けで公約の18兆円の「無駄」を見つけることはできず、したがって、公約の政策はできないと言う理由をつくった。その上、東日本大震災が襲って、予算もままならぬことになった。
 トランプは一期大統領を務めたとはいえ、今もなおビジネスマンであり続け、取引と愛憎で国家の経営に当たるならば、筆者が経験したかつての民主党と同じ結果を生むだろう。筆者は、民主党の代議士として、選挙区で罵声を浴びるようになった日々のことを思い出す。
 少なくも、焚書坑儒だけはすぐさま取り下げてほしい。アメリカが落ち目とはいえ、イノベーションだけはアメリカが先頭を走り続けているのだ。世界の進歩を止める気か、トランプ大統領。

[2025/03/24]
政経法務セミナーご案内



党派信条を超えてのご参加を期待いたします。

4月21日(月)
衆議院第二会館第8会議室
12時45分〜15時45分

挨拶 大泉博子 (永田町談話会会長)
講演 平岡秀夫 (衆議院議員、弁護士、元法務大臣、 
         元財務官僚)
         演題 「内外情勢」
講演 郷原信郎 (弁護士、元検事)
         演題「法が招いた政治不信」  
総評 山下靖典 (元朝日新聞)

参加費2千円(郷原信郎新刊「法が招いた政治不信」の代金相当)

主催 平岡秀夫事務所、永田町談話会
協力 21世紀経済フォーラム、一般社団法人汎アジア人  
   材育成センター

当日、11時半より衆議院第二会館入り口にて通行証をお渡し致します。参加ご希望の方は以下アドレスにご氏名等をお知らせください。なお、人数把握のためですので、当日キャンセルされてもかまいません。
ooizumi-110@indigo.plala.or.jp




[2025/03/12]
ミッシング人口



 インド人のノーベル経済学賞受賞者であるアマルティア・セン教授は、インドの男女出生比率が極端に男が多い事実(男1000に対し女929 2021年)に対し、ミッシング・ウーマン(失われた女性)と呼んだ。
 男系社会インドでは、中国と並んで、出生前診断で女と分かると堕胎してしまうために、女が少なく生まれ、生まれるはずだった女をミッシング・ウーマンと呼んだのだ。女は結婚のときに法外とも思われるダウリ(持参金)を必要とし、その慣習が厳然と残っているからである。
 日本では、2024年の出生数がついに72万余まで下がった。100万を切ったのが2017年、80万を切ったのが22年、ついに25年には70万も切るのは確実とみられている。これは、社人研の予測よりも12年早い減少率である。若い人々が政治に失望し、将来不安に苛まれていることは疑いがない。
 本来なら団塊ジュニアを含む氷河期世代が生むべき子供は生まれてこなかった。90年代人口問題研究所が予測していた第三次団塊世代、いわば団塊孫世代は生まれてこなかった。セン教授に倣えば、これは、日本のミッシング人口である。
 団塊ジュニアは50歳を過ぎ、最後の氷河期世代も40歳を過ぎた今、彼らの子供が生まれる可能性は殆ど無い。彼らはバブル崩壊後のデフレ期を生き、グローバリゼーションの名の下に、不況と雇用の流動化によって切り捨てられた世代だ。まさにミッシング人口を創り出す土壌そのものだった。
 グローバリゼーションはソ連崩壊後、アメリカ一極世界でアメリカが流行らせた政策だ。ITも金融も国境を越え、弱肉強食の世界が創られた。デフレから抜け出せない日本でグローバリゼーションの波に乗った日本の政治は、弱者を徹底的に痛めつける結果となった。最も痛めつけられた世代は氷河期世代だ。
 だが、グローバリゼーションの先頭にいたアメリカがアメリカ第一主義をとり、追随する国々を追いやっている。日本も小泉政権から、否、橋本政権から、金融ビッグバン、雇用の流動化をやり、挙句の果ては防衛費2倍までアメリカに付き合ってきた。いま、アメリカに梯子を外されて政治はどう立ち向かうのか。
 国会で集中的に議論されている手取り問題は、グローバリゼーションの積み残しである配偶者控除、第三号被保険者、さらに選択的夫婦別姓の問題を明らかにしたに過ぎない。高額療養費もこれから議論される年金改革法も、アンチグローバリゼーションの勢いが強くなり、考え方を改める機会が訪れたのだ。
 ウクライナ危機一つとっても、アメリカは欧州と日本に対し、梯子を外した。もうアメリカ追随は許されない。日本は外交以上に、内政においてもアメリカ追随であったが、今、国益にあった政策を求められている。それにしては政治はお粗末だ。患者団体がクレームをつけることによって初めて高額療養費の方針を変えようとしている。同時に、野党も、少数与党に対し、部分的勝利を勝ち取る競争をしているだけだ。国民民主党を除けば甚だ論理性を欠く。
 ミッシング人口はもう帰ってこない。ならば、氷河期世代の雇用に最大の力を注ぐべきではないか。その政府の在り様を見て、下の世代が国への信頼を取り戻し、子供を産む意思を持つことができるのではないか。
 

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