日々雑感
[2025/01/02]
謹賀新年
2025年、新たな年を迎え、お慶び申し上げます。
年末に閣議決定された一般会計予算は115兆円。1972年度、筆者が社会人に踏み出した年の予算は11兆4千億円。たまたま「いい世に走る」の語呂合わせで当時の予算額を覚えていたが、半世紀後に十倍になった事実は、誰も喜んではいないはずである。予算の三分の一は借金である。
政治不信というよりは政治カオスの状況の中で、巨大な予算を今の為政者に任せてよいものか、国民の多くは不安に思うのではないだろうか。この国の将来、この国の子供や若者は、70年代のあの頃に比べて豊かで幸せな人生が送れるのか確信が持てない。
2025年は、団塊世代が全員75歳に達した年。しかし、この表現を最後に、年々の特徴は、団塊世代ではなく、ロスジェネ世代と生まれ来る世代に焦点を当てるべきだ。評論以上に分析されていないロスジェネ(団塊ジュニアとほぼ同じ)の経済社会指標と毎年の合計特殊出生率が政治や社会の最も重要なターゲットにならねばならない。
具体的に言えば、中高年の大胆な雇用政策と人口を意識した少子化政策が経済社会の発展のためにトップを飾らねばならない。トランプ大統領のアメリカ第一主義は世界の国に対する表明だが、日本は、国内に対し重点課題を呼び掛ける表明が必要だ。政治カオスで溺れかかっている政治家が与野党含め、国民に何も呼び掛けていないとは摩訶不思議な国だ、日本は。
[2024/12/26]
何も変わらない、で良いのか
少数与党の臨時国会が閉幕した。国民民主党の主張を慮り103万円の壁を123万円に引き上げ、政策活動費は廃止したが企業・団体献金は将来の課題に引き延ばしたことは、やれやれ従来の自民党らしいやり口だ。これに抗えぬ野党のだらしなさも変わらない。
石破総理は「熟議の国会」と評価するが、むしろトランプ流のディールの国会ではないか。野党にちょっとだけエサを与えて終えることができたのだから、第一戦は自民党の勝ちかもしれない。
しかし、いかにトランプを真似ようと、政治の陣容が天と地の差だ。トランプには、イーロン・マスクとJDヴァンス副大統領がついている。天才と文才を備えた陣容だ。かたや、石破総理の土俵入りを見よ。露払いは玉木国民民主党党首、太刀持ちは前原維新の会共同代表だ。一体、自民党の輩は総理を放っておいて何をしているのか。いつ毒を飲ませ(野党提出の不信任案に賛成)、安楽死を図らせるかを狙っているのではないか。
1993年、宮澤喜一内閣が不信任案を突き付けられたときに自民党から裏切り者が出て成立してしまった。洋一は喜一の甥である。彼の103万の壁に対応する税調会長としてのふてぶてしい態度は伯父に似て、内閣不信任案につながる可能性十分である。歴史は繰り返すぞ。
懐刀を持たない石破総理は裸の王様である。トランプ次期大統領との面談も、安部昭恵、孫正義に先を越された。外務省は謝ることもしない。総理は部下からバカにされているとしか思えない。仏頂面で片言の英語も話さない総理が、好き嫌いの激しいトランプの寵愛を受ける可能性は低い。外務省はジャパンハンドラーたちと総理の振り付けを協議し、時間を稼いでいるのだろうか。
だとすれば、103万の壁、企業・団体献金と同じく、日米外交もまた何も変わらない。総理持論の日米行政協定の改訂やアジア版NATOは論外だ。
石破総理、もし国会の熟議を評価するのならば、露払いの国民民主と太刀持ちの維新をばひきつけ、自民党内の毒を消せ。まさに毒を以て毒を制し、総理としてやりたいことがあるのならば、その手を使うべきだろう。もしこのままズルズルと党内の毒気にさらされ続けるならば、永年総理になりたかったのは、ただ椅子に座りたかった総理だったということになりかねない。
[2024/11/27]
多党化時代の政治
2024年は選挙の年だった。都知事選、総選挙、兵庫県知事選は従来とは次元の異なる結果をもたらした。さらに、アメリカ大統領選挙もまた異彩を放つ「出来栄え」であり、日本にも選挙とは何か、民意とは何かの大きな影響を与えた。
では、何がそうさせたのか。人々は「長いものに巻かれろ」を辞めた。だから、選挙の様相が変わったのだ。「普通の人」は自民党に投票するはずだった。マスコミや定番のコメンテーターは「長いもの」の考え方を提供したが、人々は乗らなかった。
SNSやユーチューブは、マスコミに勝った。マスコミと定番コメンテーターが作り上げた敵の構図を唯々諾々と飲まなかった。既存のマスコミなどは、都知事選の石丸現象も、総選挙の多党化も、斉藤知事の圧勝も予測できなかった。さらに、アメリカ大統領選でも、民主党系のワシントンポストやニューヨークタイムズを鵜呑みにして事実と異なる「接戦」を報じ続けた。
総選挙の結果は多党化である。自民が負けたことは事実だが、立民が勝ったのではない。立民は、これまで小選挙区で負かされてきた相手が勝手に票を減らしたので議席を50も伸ばしたが、比例票は変わらない。つまり敵失で勝ったものの、立民支援者は一定のグループに限られている。
組織票がベースの公明と共産はそれぞれ110万、80万も票を減らした。組織の高齢化や組織離れに歯止めがかからない。代わって出てきたのが、自民党を代替する国民民主党と共産党を代替するれいわ新選組だ。結果は、国民がどの政党も圧倒的に支持せず、多党化し、政治のカオスを招いたということになる。
このことは、日本の政治状況が欧州に似てきたと言える。90年代ソ連の崩壊とともに欧州では社会民主主義系が台頭したが、日本では、細川連立政権が文字通りの短命で終わり、アングロサクソンを真似た小選挙区政権交代システムは、一度だけ成立した民主党政権の失政によって長続きはしなかった。その日本が、ドイツやイタリアのように、連立でしか内閣を作れない多党化に向かい、ようやく世界の潮流に追いついたとでも言うべきか。
手取りを増やすのフレーズで若者の票を獲得した国民民主党に自民は媚を売ればよい。同時に、石破首相は自民の中で政策実行が不可能ならば、野党に働きかければよい。選択制夫婦別姓も、相続税・金融所得の課税強化も、女系天皇も、野党が一丸となれば実現できる。それは皆、石破首相のやりたいことではなかったか。日米行政協定の改正はハードルが高いが、今できることは多い。
自民党内ですべて首相の意思を消してかかったが、石破首相はわずかに残った地方創生に逃げ込むのはやめるべきだ。この政策は過去も今も全く成功していない。野党に働きかけ、ダイナミックな政策を実現する首相にならなければ、長い間待った甲斐がないではないか。トランプにも既に蹴飛ばされ、外交の場のふるまいを揶揄される首相は昭和垢のついた優柔不断男になっている。森山幹事長に安楽死のクスリを飲まされて早期に退却するシナリオでよいのか。
総選挙は政治のカオスを招いた。しかし、多党化時代ならではできることもある。
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